D&G、PR動画と“侮辱的発言”で上海ショー中止&品物が中国全土から消えた その背景事情を探る
イタリアのメディア「Pambianco News」によると、2017年度のDolce&Gabbanaの売上高は前年度比9.6%増の12億9,600万ユーロ、純利益は8,000万ユーロであった。イタリア国内市場における売上高は、全体の24%を占めており、その他のヨーロッパ地域の売上高は27%、米国13%、日本6%、残りの30%が日本を除いたアジア地域だと報告されている。この30%の大部分を中国が占めているのだ。
D&Gは香港、マカオ、本土などに62店舗を所有しており、今年上海でファッションショーを予定していたのは、更なる中国市場拡大の目的があったからではないだろうか。ネットユーザーの中には、以下のような少し過激なイラストと共に「如果你不喜欢中国人,也请不要喜欢人民币。(もし中国人が嫌いなら、人民元も好きにならないでね)」と言った投稿もある。
(出典:知乎)
さらに21日の夜から、ネットショッピングサイトの大手「天猫(Tmall)」や「京東」を筆頭に、輸入品を専門に扱っている「洋碼頭」まで、中国のネットショッピングサイトからD&Gの品物が消えた。d&g、杜嘉班納(ドルチェ&ガッパーナ)で検索しても何も出てこないのだ。唯一販売しているのは、公式ウェブサイトのみである。
(出典:毎経網)
中国は経済成長を続け、生活水準が高くなったため、人々の購買意欲も盛んだ。そんな中国にはショッピングデーという日がある。元々は「独身の日」という呼び名で、ECコマース企業「アリババ」が独身者に向けて2009年11月11日からネットで大セールを始めたのがきっかけだが、現在は独身者うんぬん関係なく、国民みんながお得な爆買いをする日だ。
ちなみに「天猫」の2017年11月11日一日の売上金額は1682億元(約2.87兆円)、およそ楽天の2016年一年の売り上げ(3兆円)に達する。一日で楽天の一年分の売り上げを稼ぎ出すのだ。中国のネット販売市場ではすさまじい金額が動いていることが想像できよう。今年の11月11日、「天猫」の売り上げは2135億元(約3兆5000億円)で、初めて2000億元を超える大盛況ぶりとなった。こんなドル箱の中国市場を、今回の騒動でD&Gは完全に失ってしまった。
11月22日、外務省報道官はD&Gの騒動についての質問を受け、「外交問題に発展することを望んでいない。この問題をどう受け止めているのか中国の一般市民に聞いてほしい」と話した。
すると翌日23日、D&Gは自社の「微博」でデザイナー2人の動画をアップした。2人は全世界の華人に対してイタリア語で、今回の騒動についての謝罪や「中国の伝統文化を、私たちは見習うべきところがたくさんある」と述べた後、最後に中国語の発音で「对不起(ごめんなさい)」と述べた。
(出典:鳳凰網娯楽)
今回の騒動は連日、日本のメディアでも取り上げられており、中国のサイトでは日本人の声も紹介されている。「フォークが広く使われるようになったのは14世紀。それまで西洋人は手で食事をしていた。箸は紀元前1100年殷の時代に遡る」などと、日本でも多くの人がD&Gに批判的だ。どうやら中国人のみならず、アジア人全体を敵にまわしてしまったようである。
参考リンク:
https://mp.weixin.qq.com/s/JgzgCJEJi-7zC5l9Nv1yLw
http://www.nbd.com.cn/articles/2018-11-21/1274722.html
http://www.nbd.com.cn/articles/2018-11-21/1274722.html
http://news.hexun.com/2018-11-21/195272215.html
https://zhuanlan.zhihu.com/p/50548567?utm_source=wechat_session&utm_medium=social&utm_oi=30243771383808&wechatShare=1&from=timeline&isappinstalled=0
http://www.nbd.com.cn/articles/2018-11-22/1275013.html
http://ent.ifeng.com/a/20181123/43140252_0.shtml
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1618249957052251063&wfr=spider&for=pc
■真船麻衣(フライメディア)
株式会社フライメディアは映像制作を中心に、海外、主に中国、台湾、香港のリサーチ、撮影コーディネーションサービスを提供中。
本記事の「D&G騒動」含め、現地情報を詳細に解説している。https://flymedia.co.jp/