4年ぶりにアップデートされた「Mac mini」はカスタマイズ性が魅力 最新Macの使い勝手に迫る

4年ぶりにアップデートされたMac mini

 10月30日、Appleの基調講演にて新しいMac miniが発表された。Mac miniはMac唯一の小型デスクトップ機として長く愛される機種だが、近年はアップデートが滞っており、最新のデスクトップ機を買う場合、画面一体型のiMacシリーズか、MacProを買う以外の選択肢がなかった。また、ノートブックをディスプレイに接続して利用するユーザも多く、小型デスクトップ機の必要性は以前よりも縮小している。

 そんな中、今なおデスクトップ機を支持し続けるユーザにとっては待望となる、4年ぶりのアップデートだ。最安価モデルは8万9800円(税別)で購入できるのも魅力だ。この価格帯に最新のMacがあるのは嬉しい。

 特筆すべきはカスタマイズオーダーの幅広さである。カスタマイズを利用することで、一般の用途からプロユース・サーバ利用までをもカバーできるため、幅広いユーザがこのMac miniの恩恵を受けるだろう。スペックとカスタマイズの幅について、順に見ていこう。

個人利用からサーバ構築まで可能な1台

 4年ぶりのアップデートとなり、プロセッサからメモリ、各インターフェイスに至るまであらゆる部分が刷新されている。前機種との比較はもはや必要ないだろう。

 プロセッサは第8世代に更新され、4コアのCore i3と6コアのCore i7を選べるようになった。ミドルレンジのCore i5プロセッサが無いのは残念だが、一般の利用であれば下位モデルを、プロユースでの運用には上位モデルを選ぶのが良いだろう。

 メモリは8GB・16GB・32GB・64GBから選択できる。すべて読み書き速度は2666MHzで、これはiMac Proと同等の速度となり現行機種では最新・最速のメモリだ。

 SSDは標準で128GB、最大2TBまでカスタムできる。PCIeを採用したフラッシュストレージで、シーケンシャルリード(連続アクセスによる読み込み速度)は最大3.4GB/s。SSDコントローラにはApple内製のT2チップが採用され、このチップは同時にストレージの暗号化も担っている。

 豊富なインターフェイスも特徴的だ。4基のThunderbolt 3(USB-C)ポート、HDMI 2.0ビデオ出力ポート、オーディオジャック、ギガビットEthernetポート、そして2基のUSB-Aポートを備える。さらにギガビットEthernetポートはカスタマイズで10Gb Ethernetに変更できるなど、Macに求めるインターフェイスを完備している。

 基調講演において、Appleのワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデント、フィリップ·シラーはMac miniの多様性をこう語った。「日常的に使うデスクトップに始まり、プロがライブ会場で使うマシンとして、複数台を併用してビデオのレンダリングやソフトウェアコードのコンパイル作業を高速化する用途で、さらには、巨大なアプリケーションをビルドするような業界において数千台規模でラックに収めて運用するなど、実に多様な環境で利用できるという能力面から、お客様に愛され続けています」
 小型・軽量MacBookやプロユースのiMac Proの発表など、用途に特化したMacの発表が多かった中で久しぶりに現れた、オールラウンダーなMacだといえる。

 注意すべき点として、グラフィックス処理はオンボードのGPUで行われる。そのため、本格的な画像・動画処理をする場合には別途Thunderbolt 3接続の外付けGPUなどを導入するのがスマートだろう。

 また、Mac miniにはディスプレイはもちろん、キーボード・マウスなどの周辺機器も付属していない。付属物は本体と電源コードのみだ。もし、「初めの1台」として購入する場合には、その他周辺機器への出費も必要になる。

 これらの点に注意すれば、ほぼあらゆる用途に活躍の場を見いだせるMacだろう。ぜひ公式WEBサイトで豊富なカスタマイズを眺めながら、自身に最適な1台を検討してほしい。

画像出典:Mac miniプレスリリース

■白石倖介 
コンピュータ専門誌の編集者を経て、フリーライターとして活動中。Mac・iOSに詳しい。写真も撮る。主にTwitterにいます。TwitterBlog

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