未来のエンタテインメントをテーマにしたイベント『LIVE Hackasong』で披露された、新感覚の次世代技術とは?
10月17日、東京・六本木のクラブ&レストラン『ビルボードライブ東京』にて、未来のエンタテインメントをテーマにしたイベント『LIVE Hackasong』が、MCにお笑いコンビ・FUJIWARAの藤本敏史と原西孝幸を迎えて開催された。
ハッカソンとは、技術者やエンジニアが集まり、一定期間内で共同開発を行うイベントのこと。今回の『LIVE Hackasong』におけるテーマは「未来のエンタテインメント体験」。全6チームが制作したプロジェクトの最終成果発表を行い、審査委員長の中村伊知哉氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)、審査員の玉井健二氏(音楽プロデューサー/ agehasprings代表)、ジェイ・コウガミ氏(デジタル音楽ジャーナリスト /「All Digital Music」編集長)、高木美香氏(経済産業省 コンテンツ産業課長)、加藤有治氏(クールジャパン機構専務取締役COO兼CIO)と、会場に集まった観客の投票によって、最優秀賞が決まるコンペティションだ。
トップバッターを務めたのは、チーム『docoでmoLive』。VTuberとユーザーを繋ぐ双方向コミュニケーションアプリ『docoでmoLive』を提案した。これは、VTuberのパフォーマンスに合わせてユーザーがスマホやタブレットなどを使用してサイリウムを振ったり、「いいね」「最高」「帰れ」などのコメントを送ったりでき、またVTuber側もそれらのリアクションを感知できるという、仮想空間上におけるインタラクティブなやり取りが可能になるツールだ。実際に、会場にいる観客にもアプリのQRコードが配布され、その場で熱唱するVTuberへ向けて「いいね」を送ったりしていた。
続いて登場したのは、チーム『KMD』。こちらは実装段階までいかずデモンストレーションなしのプレゼンテーションのみの発表になった。同チームの予定していた成果物は、アーティストのライブ映像やスポーツの名シーンといった映像コンテンツのプレイリストを作成し、仮想空間上で他者と共有してVRで楽しめるようにするというもの。高木氏からは「VRならではの視点があるとより良いものができるのでは」と改善点も指摘されていた。
3番目に登場したのは、株式会社Exphaseと株式会社Skiyakiの合同チーム『Exphase/Skiyaki』。世界の超富裕層に向けた『ハリウッド・ライブ・オークション』についてプレゼンした。たとえば、マリリン・モンローのドレス(5.6億円)、ダース・ベイダーHEAD(1.1億円)、バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアン(5800万円)など、一般的なオークションサイトに出回らないような高額希少品を取り扱い、世界に向けてライブオークションを展開する事業を発表。クールジャパン機構の加藤氏などは「今日初めて儲かりそうな内容で、儲かるまでの距離がかなり短いと感じました」と興味津々の様子だった。
4番手を務めた株式会社スペイシーが発表したのは、ライブイベントなどで役立つタブレットアプリ「ライブ スペイシー」。これは、「顔認証システム」を用いることで、入場手続きの簡略化(身分証いらず・もぎり係不要など)、チケットの転売の防止、イベント時における犯罪行為の抑止、物品購入時のキャッシュレス化といった様々なメリットをもたらすサービスだ。デモンストレーション的に原西の顔を認証しようとしたもののうまく認証されず、藤本からは「ちゃんと認証されなさいよ!」と突っ込まれていた。
5番目に登場したのは、インドネシア人技術者のアンディ・アクバルさん。ギターを用いたシナスタジア(共感覚)システムをプレゼンするにあたり、自前のギターを用意。サラリーマン時代に味わった悲哀を歌にしたという自作曲を弾き語りし、ギターをピッキングするたびに、その演奏風景を映し出したスクリーン上には花火のように光の粒子が散って舞った。
トリを務めたのは、株式会社YEAAH。「LINE Pay de 心も懐も盛り上がる」と題された同社の制作物は、「LINE Pay」の技術を応用した「投げ銭」のようなサービス。「10円 花火」「100円 花火」「500円 花火」のいずれかを購入すれば、ミュージシャンがライブをした際、会場に設置されたスクリーン上に「花火」が打ち上がり、ある種のライブ演出効果をもたらすというものだ。会場では実際に、シンガーソングライター神崎克広のソロ・プロジェクトPuskásによる演奏に合わせて、FUJIWARAに「花火」を打ち上げさせていた。
その後、結果発表へ。まず、会場賞は株式会社YEAAH、続いて、優秀賞は株式会社スペイシーが受賞。最後の最優秀賞も会場賞と同じく株式会社YEAAHが獲得し、審査委員長の中村氏からは「2020年に東京オリンピック/パラリンピックが開催されますので、この技術を応用すれば、スポーツの応援にも使えるのではないか」とサービスの可能性を高く評価されていた。
■こじへい
1986年生まれのフリーライター。芸能・スポーツ・音楽・カルチャーのコラム・リリース記事から、ゲームのシナリオ、求人広告まで幅広く執筆中。