“誰も死ななくていい、やさしいRPG”『Undertale』待望のNintendo Switch版登場 その魅力を解説
PC版発売当初から待ち望まれた任天堂のゲーム機で遊べる『Undertale』
また、今回のNintendo Switch版は、PC版の発売当時から一部プレイヤーから待ち望まれてきた、任天堂のゲーム機で遊べる『Undertale』でもある。グラフィックの作風から明らかな通り、本作は任天堂の『MOTHER(マザー)』シリーズの影響を強く受けており、そのことから任天堂のゲーム機へのリリースがかねてより期待されていた。
しかし、満を持して発売された家庭用ゲーム機版はPlayStation 4とPlayStation Vitaとなった。何故、任天堂のゲーム機でリリースされなかったのか?その背景には、本作を制作するに当たって用いられた開発ツールの存在がある。
噛み砕いて解説するが、その開発ツールとはイギリスのYoYo Games社が販売する「GameMaker Studio」と呼ばれるもので、主に2Dゲームの制作に強いツールとして、海外のインディーゲーム開発者の間で広く普及している。
日本国内でも制作に用いている開発者は多く、2015年にスマートフォン用ゲームアプリとして発売され、後にPlayStation 4、PlayStation Vitaに移植された『Downwell』もこのツールで制作された作品だ。海外インディーゲームだと、当リアルサウンドテックにレビュー記事が掲載されている『VA-11 Hall-A』、『Minit』がそれに当たる。他にも『ホットラインマイアミ』、『Hyper Light Drifter』といった作品が同じツールで制作されている。
家庭用ゲーム機へのエクスポート機能も備えていたこのツールだが、任天堂のゲーム機は全て対象外とされており、仮に出すとなれば、一からの作り直しを余儀なくされた。小規模なチーム、個人開発者にとって、そのハードルは極めて高く、現に先ほど例に挙げた『Hyper Light Drifter』は、当初計画していたWiiUでの発売をその事情から断念している。
唯一の実現例で、『マルディタカスティーラ ドン・ラミロと呪われた大地』というニンテンドー3DS用にリリースされたアクションゲームがあるが、これも制作に当たり、一から作り直したことを移植を担当した会社がブログ上で明かしており、決して容易な話でなかったことを推察することができる。
当初はNintendo Switchも対象外であることが、海外でPlayStation 4、Xbox One向けに販売されているアクションゲーム『Mystik Belle』(※これも同ツール製の作品である)の制作を手掛けたメーカーがTwitterで明かしていた。
しかし、2018年3月9日のNintendo Switch版『Undertale』発表の裏で、現行の最新版『GameMaker Studio 2』が同ハードをサポート対象とするアップデートの実施を告知。晴れて、本作は任天堂のゲーム機に移植できるようになったのである。
既に本作に先んじて、同ツールで作られた作品がNintendo Switchに移植されており、直近では『Hyper Light Drifter』がWiiU版断念の過去を晴らす形でデビューを飾っている。
また、『Va-11 HA-LLA』も2019年にNintendo Switch版が予告されている。
更に9月14日の「Nintendo Direct」では、『Downwell』もNintendo Switchへの移植が告知。他にも様々なタイトルがNintendo Switchでのリリースに向け、動き始めているようだ。
本作の内容からは脱線した話題になったが、そのような背景から、今回のNintendo Switch版はとても意義深いものにもなっている。もし、同じツールで制作された作品に少しでも興味を抱いたのなら、是非、プレイしてみて頂きたい。いずれも良作揃いだ。
Nintendo Switch版には独自の”なにか”が追加……?
今回のNintendo Switch版は基本、オリジナルのPC版の移植ということで、先行したPlayStation 4、PlayStation Vita版からゲーム部分で大きく変わったところはない。
ただ、任天堂公式サイトに掲載されたトビー・フォックス氏のインタビューによると、PlayStation 4、PlayStation Vita版に存在した”あるスポット”が無くなり、代わりに新規の”なにか”が加わっているという。他にNintendo Switchの特権として、テレビの大画面でも、携帯モードで外出先でも遊べる二つのプレイスタイルで楽しめるのも大きな見所である。
PC版発売から海外のみならず、日本でも好評を博し、任天堂のゲーム機でのリリースが切望されていた作品が、最新のNintendo Switchで遊べるようになった。この時を待ち望んでいたプレイヤーは是非、この機会に遊んでみよう。そして、様々な意味で記憶に残る冒険に身を委ねてみよう。いい意味でも悪い意味でも、唯一無二の驚きをお約束する。
■シェループ
新旧構わず、色んなゲームに手を伸ばしては積みゲーを増やし続ける人。コソコソとゲームライターとしても活動し始めた。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションが大好物。最近、『スプラトゥーン』のジャッジくんが気になって仕方がない。
Twitterアカウント(@shelloop)
■UNDERTALE
ジャンル:ロールプレイング
価格:
パッケージ版:4,320円
ダウンロード版:1,620円
発売・移植:ハチノヨン(8-4)
開発:トビー・フォックス
公式サイト:https://undertale.jp/