星野源の人生に影響を与えた『UNDERTALE』とは? パッケージ版発売で絶賛トークを振り返る
本日5月24日、PS Storeで10万ダウンロードを突破したインディーRPGの金字塔『UNDERTALE』(アンダーテイル)のパッケージ版が、一般発売された。特典としてフルカラー24ページのストーリーブックレットが付属し、PC版含めてダウンロード購入で楽しんだファンにとっては、コレクターズアイテム的な魅力もある商品になっている。
2015年9月、PCゲームとして発表された『UNDERTALE』は、懐かしいドット絵、モンスターも含めて「誰も死ななくていい」という斬新な設定と、それ以上に個性的なキャラクターたち、弾幕シューティングのように敵の攻撃をかわす特徴的な戦闘システムなどが相まって、大ヒットに。売り上げは100万本を突破し、各国のゲーム賞を総なめにするなど、現在に至るまで、多くのゲーマーの関心事になっている。Nintendo Switch版のリリースも発表済みだ。
ゲームファンにはおなじみのタイトルだが、一方で、『UNDERTALE』は大手メーカーの作品ではなく、もともとアメリカのゲーム制作者・Toby Fox氏がほとんど一人で作り上げたインディーゲームだということもあって、一般知名度はそれほど高くないかもしれない。専門家やゲーマーは称賛の声を惜しまないが、あまりゲームで遊ばない人がそれを聞いても、「面白いゲームがあるのね」で終わってしまうだろう。
そこで今回は、ゲームの専門家でなく、多くの人がより身近に感じるだろう、トップアーティスト・星野源が2017年9月25日の『星野源のオールナイトニッポン』で語った、『UNDERTALE』評を振り返りたい。彼は放送で「人生に影響が及ぶゲーム」とすら語っているのだ。
星野はまず、自身のゲーム遍歴を振り返った。もともとゲーマーだったわけではなく、周りがスーパーファミコンで遊んでいた少年時代、ひとりPCエンジンを購入。……と聞くとむしろ“ガチゲーマー”な気がしてくるが、そのうちソフトが発売されなくなってしまい、自然とゲームから離れていったそうだ。ゲーム熱が盛り上がってきたのは、一人暮らしを始めた22~23歳のころ。よゐこ・有野晋哉によるゲーム実況の草分け的番組『ゲームセンターCX』にハマり、自分もレトロゲームがやりたくなって、初代のファミコンを買いに走ったそうだ。
そして、ゲームショップでたまたま手に取ったのが、『UNDERTALE』に大きな影響を与えた名作『MOTHER』だった。「何の知識もなく、ただ“パッケージが赤いから”という理由で買った」と、いわゆるジャケ買いだったが、これに衝撃を受けたという。糸井重里がシナリオやデザインを手がけ、宮本茂がプロデュースした『MOTHER』は、ユーモアのなかに、不思議と考えさせられたり、場合によってはトラウマになるような“取り返しのつかなさ”を感じさせるゲームだ。星野は「敵が、洗脳されたそこらへんのお兄ちゃんだったりして、倒すというより、目を覚まさせる感じ。殺さなくてもいい、というゲームだった」と、『UNDERTALE』につながる魅力を語りつつ、死んでしまうと復活しないお助けキャラ「フライングマン」のお墓を見て、「本当にごめんなさい」という気持ちになったと明かしていた。「データの集合体ではなく、魂が入っている感じがした」と言い、20代前半にして、星野はある種のトラウマや楽しい思い出を、このゲームから受け取っていたようだ。
そこから様々なゲームにハマり、ついに出会ったのが、『MOTHER』に通じる魅力のある『UNDERTALE』だった。「絶対に面白いはず」という星野の直感は大当たりで、「クリアしてからもずっと考えてしまう、人生に影響が及ぶゲーム」になったという。