ルーマニア独裁政治下のアクションパズル 『ブラック・ザ・フォール』が描き出す自国の暗部

 『ブラック・ザ・フォール』も『返校』も、ゲームとしての完成度は高い。パズルやホラー的な要素を楽しみつつ「この後一体どうなっちゃうんだ……」とプレイヤーを引き摺り回す馬力がある。また、2本とも歴史的な背景についてもそれほどはっきりとは明言せず、にも関わらず当時を生きた人たちの気持ちを(数万分の1程度だとしても)追体験させる。これはプレイヤーを積極的にストーリーに関わらせ、ストレスを与えることができるゲームというメディアならではの機能だろう。

 そういった意味で『ブラック・ザ・フォール』と『返校』は、共に「ゲームでなくてはならない」という必然性を持ったタイトルだと言える。こうなってくると、戦前戦後の日本で起きた事件を題材にしたインディーゲームというのも遊びたくなってくる。なんせ本邦も、陰鬱な事件の量と質では決して負けていないのだから。

■しげる
ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

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