新作リリースの噂広がる『デビル メイ クライ』 その画期性を過去シリーズから振り返る
※追記:記事公開後、2019年春にXbox One、PS4、PCで『デビル メイ クライ 5』発売されることが、カプコンより正式に発表。
主に海外コミュニティなどで、人気アクションゲームの新作『Devil May Cry V』のリリースが噂されている。2008年に4作目が出てからかなりの月日が経ったものの、主人公・ダンテの声優によるSNSでの投稿などから新作が推測されるやいなや、あっという間に渇望する声が広まるなど、人気はいまだ衰えていない。なぜ『Devil May Cry』シリーズは、これほどまでに支持されるのだろうか?
シリーズ作品を知らない方に説明すると、『Devil May Cry』は銀髪のデビルハンター・ダンテが剣と銃を華麗に使いこなし、大量に出てくる悪魔をバッタバッタとなぎ倒していくスタイリッシュなアクションゲームだ。巨大かつ凶悪そうなボスの前でも、ダンテは怯むことなく、軽口を叩きながら挑発していく。
この作品では「いかにスタイリッシュに戦うか」というテーマが全面に押し出されており、それはダンテ自身のキャラクター設定だけではなく、敵を倒すときにコンボを用いて格好良く倒すと評価が上がるなど、ゲームシステムやシナリオ自体にも組み込まれている。キャラクターの魅力とともに、コンセプトとゲーム性がしっかりと噛み合っているところも、また根強い人気の1つなのだろう。
シリーズ中でも一番の人気を誇るのが、作中の時系列では最初の物語に当たる3作目『Devil May Cry3』だ。シリーズの謎が一気に判明するシナリオもさることながら、ゲーム性もぶっちぎりで高く、シリーズ最高傑作とも言われる。カットシーンには映画業界でさまざまなアクション監督を務めてきた下村勇二を起用し、2作目のややダウナーなダンテからは想像もできないほどフッ切れたテンションをこれでもか!とばかりに魅せてくれる。登場するキャラクターたちも個性が強く、一昔前のハリウッド映画のような、洒落たセリフを連発する主人公ダンテをはじめ、クールすぎる双子の兄・バージルや人間の身でありながら悪魔と渡り合うヒロイン・レディなど、異常に"濃い"メンツが怒濤の展開を繰り広げる。
さて、『Devil May Cry』が画期的だったのは、前述の通り「スタイリッシュ」という概念が、ゲームシステムからシナリオ・カットシーンに至るまでしっかりと共通している点だ。これまでのゲームでは、概ね「敵を倒す」という結果が重要であり、その過程はプレイヤー次第だった。その流れを踏襲するのであれば、スタイリッシュな言動とは裏腹に、有用性の高い技を連発し、ただただ作業的に敵を処理していくダンテ、というキャラクターもあり得ただろう。もちろん、実際にリリースされた『Devil May Cry』でも、作業的なプレイは可能であるし、この敵にはこのパターン、というルーティンも生まれるのだが、プレイヤーは基本的に、自然と“ダンテらしい戦い方”を追求するようになる。
良質なシナリオにゲームシステムが追いついておらず、ムービーシーンとプレイ内容にギャップが生じ、最後までノリきれない作品も少なくないなかで、そこを徹底的に噛み合わせた『Devil May Cry』が多くのファンを獲得したのは、必然だっただろう。この10年で大きな進化を遂げているゲームシーンに、『Devil May Cry』がどのようにスタイリッシュなカムバックを果たしてくれるのか。噂の真偽も定かではないなかで、いやがおうにも期待してしまうところだ。
(文=大里ミチル)