黒田隆憲の楽器・機材キュレーション
ひなっち=日向秀和、今剛、Motörhead レミー、SUGIZO…“憧れの音”試せるエフェクター
2015年12月に惜しくも逝去したMotörheadのベーシスト、レミー・キルミスター。トレードマークのリッケンバッカーベースから放たれるあのゴリゴリの“レミーベース”を再現するため、彼をイメージしたベース用ディストーションペダル「OKKO motör bass」も紹介したい。
「歪んだベースサウンド」というのはなかなか厄介なもので、ギター用の歪みペダルを使うと低域がカットされたペラペラなサウンドになってしまいがちだし、たとえベース用の歪み系ペダルを使っても、レミーのあの太いサウンドにはなかなか辿り着かない。コード弾きだと尚更で、抜けの良いサウンドを作るのは至難の技だ。
しかしこの「OKKO motör bass」は、多くのトライアルを重ねることにより、ベースの全音域にタイトな歪みを加えることに成功。ツマミは「Faster(より速く)」「Harder(より激しく)」「Louder(よりデカく)」の3つしかついていないのも潔くて最高だ。
最後に紹介するのは、先日ツアーファイナルを武道館で行ったLUNA SEAのギタリスト、SUGIZOのシグネチャーモデル「RM-1S」。彼が長年愛用しているカスタムリングモジュレーターで、聴けば一発でSUGIZOの音とわかる。本モデルをフリーザトーン代表の林氏が製作したのは、1998年6月。実に20年の歳月を超えて入念に再現されたシグネチャーモデルは、当時と同じNOSパーツを使用。そのため数量限定生産となり、残念ながらこちらは生産終了している。
以上、楽器を彩り無限のポテンシャルを引き出す様々なエフェクターペダルの中から、気になるシグネチャーモデルを紹介した。憧れのミュージシャンの「あの音」を、ぜひ一度試してみて欲しい。
■黒田隆憲
ライター、カメラマン、DJ。90年代後半にロックバンドCOKEBERRYでメジャー・デビュー。山下達郎の『サンデー・ソングブック』で紹介され話題に。ライターとしては、スタジオワークの経験を活かし、楽器や機材に精通した文章に定評がある。2013年には、世界で唯一の「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン公認カメラマン」として世界各地で撮影をおこなった。主な共著に『シューゲイザー・ディスクガイド』『ビートルズの遺伝子ディスクガイド』、著著に『プライベート・スタジオ作曲術』『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』『メロディがひらめくとき』など。