ハリウッドが抱える“ゲーム原作実写の呪い” ヒット作『ランペイジ 巨獣大乱闘』が吹っ飛ばす?

ゲーム原作映画ヒットの兆し

 ゲーム実写の呪いを解くにあたって『ランペイジ 巨獣大乱闘』は、元ネタとなるゲーム選びがよかったように思える。80年代のゲームという懐かしさ、そして引用したのがクリーチャーの設定と暴れ方のみで、しっかりと1本の映画として脚色されていたのが功を奏していた。6作まで展開した『バイオハザード』シリーズは、最終的に映画とゲームの設定があまりにもかけ離れてしまった上、ストーリー上の矛盾点も多数見受けられ、ゲームファン、映画ファンともに満足させる出来ではなかった。

 また、ジョンソンが出演した、ゲームの世界がテーマの『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』の後に『ランペイジ 巨獣大乱闘』が公開されたこともあり、彼への信頼が観客を呼び寄せたようにも感じる。現実離れした筋肉と身体能力を持つ彼はゲームの世界に溶け込むにはもってこいだ(脱線するが、ジェフリー・ディーン・モーガンが演じたラッセル捜査官のにやけ顔が、完全に『ウォーキング・デッド』のニーガンだったのも良かった)。

 今後もゲーム原作の実写映画が目白押しとなっているハリウッド。ビッグタイトルで言えば『名探偵ピカチュウ 新コンビ誕生』『アンチャーテッド』『モンスターハンター』が控えている。『名探偵ピカチュウ 新コンビ誕生』は、おなじみの大谷育江ではなく、大川透が人間の言葉を話すピカチュウの声優を務めるニンテンドー3DSのゲーム。それを基にした『Detective Pikachu(原題)』は、『デッドプール』のライアン・レイノルズ主演で渡辺謙も出演するという。

 またアクションアドベンチャーゲーム『アンチャーテッド』の映画化の主演は、『スパイダーマン:ホームカミング』のトム・ホランド。さらに『ブレイキング・バッド』のブライアン・クランストンも出演が決まっている。ストーリーはオリジナルで、ゲームからは設定だけ引き継ぐ予定だそうだ。

 さらに『モンスターハンター』は、カプコン繋がりもあり、あの『バイオハザード』コンビが復活。夫婦でもあるミラ・ジョヴォヴィッチとポール・W・S・アンダーソン監督が再びタッグを組み、2018年9月に製作が始まる予定だ。

 ほかにも、アクションゲーム『ディビジョン』が、『モリーズ・ゲーム』のジェシカ・チャステインと『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホールをキャストに迎え、『デッドプール 2』のデヴィッド・リーチ監督で製作される。ギレンホールは、『スパイダーマン:ホームカミング』の続編に悪役として出演する可能性もあり、これが決まればレイノルズ、ホランドとマーベル俳優たちがゲーム実写へ続けて出演することになる。

 これらの作品は『ランペイジ 巨獣大乱闘』と違い、設定、ストーリーともに作り込まれているゲームが基になっている。キャストに本気の布陣が敷かれているが、ヒットを繋げるためには、やはり映画として成り立つ脚色が鍵になってくるだろう。映画史全体を見ても、様々なジャンルがブームを起こし、必ず散っていく。アメコミ映画の人気もいつか終焉を迎えるかもしれない。はたしてゲームの実写映画は、新時代を築くことはできるのだろうか。

(文=阿部桜子)

■公開情報
『ランペイジ 巨獣大乱闘』
5月18日(金)より全国公開
監督:ブラッド・ペイトン
出演:ドウェイン・ジョンソン、ナオミ・ハリス、マリン・アッカーマン、ジェイク・レイシー、ジョー・マンガニエロ、ジェフリー・ディーン・モーガン
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
公式サイト:rampagemovie.jp

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