注目されるGoogleのVR&AR戦略 ARではAppleを脅かし、VRではFacebookに及ばず?

GoogleのVR&AR戦略

ARではAppleを脅かし、VRではFacebookに……

 以上のようなGoogleによるVR&ARに関する発表は、それぞれの市場にどのような影響を与えるだろうか。

 昨年6月にAppleがARアプリ開発プラットフォーム「ARKit」、8月にGoogleがARCoreを相次いで発表したことにより、スマホを活用したARアプリから形成されるモバイルAR市場が注目を集めるようになった。同市場においては、先行しているAppleがやや優勢のように見られていたが、今回Googleが発表した一連のAR機能により、同社の勢いが増すことが予想される。というのも、AR体験の共有や地図アプリとARの連携の本格的実用化は、ARKitアプリではまだ実現していないからだ。しかし、Appleは来月4日から8日にかけて同社の開発者会議「WWDC 2018」を開催する。同会議の発表によっては、再びAppleがモバイルAR市場で優勢になる可能性があるので注視したい。

 対して、今回のGoogleの発表がVR市場に与える影響は軽微だと見られる。VR市場では、つい先日、Facebookから「Oculus Go」がリリースされるという画期的な出来事があった。スタンドアロン型VRヘッドセット市場という今までになかった市場を開拓する、この発表に比べれば、Tour Creatorのリリースはモバイル型VRヘッドセット市場におけるひとつの出来事にすぎない、と言わざるを得ない。

 まとめると、Google i/o 2018の発表に限って言えば、GoogleはARでは躍進し、VRでは足踏みしている、と評することができるのではないだろうか。

参考記事
Google I/O 2018 Keynote in 10 minutes
Google Lens: real-time answers to questions about the world around you
Experience augmented reality together with new updates to ARCore
Now students can create their own VR tours

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。
Twitter:@kohkiyoshi

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