『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』配信! “傑作”と言われる所以を解説

※本稿は『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』のネタバレを含みます。

 興行収入27億円、観客動員数159万人を記録し、2026年の劇場アニメを代表するヒット作となった『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』。8月31日より、Prime Videoで同作の独占見放題配信がスタートする。

 なぜ同作はファンのあいだで「傑作」と呼ばれるに至ったのか。原作からの改変要素についても取り上げつつ、その見どころを紹介していきたい。

 『閃光のハサウェイ』シリーズは、『ガンダム』の生みの親・富野由悠季が手掛けた小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を原作とした劇場アニメ。3部作での公開を予定しており、『キルケーの魔女』はその第2作目にあたる。

 物語の舞台となるのは、第二次ネオ・ジオン戦争から12年後の地球。腐敗した連邦政府による非人道的な政策が横行するなか、ブライト・ノアの息子であるハサウェイ・ノアは、反地球連邦政府運動「マフティー」のリーダーとして抵抗運動を行う。しかし謎の少女ギギ・アンダルシア、連邦軍大佐ケネス・スレッグとの出会いによって、運命が揺れ動いていく。

 2作目となる『キルケーの魔女』で描かれるのは、アデレード会議襲撃に向けて準備を進める「マフティー」と、それを阻止しようとする連邦軍の戦いだ。基本的なストーリーの流れは原作小説と同じだが、さまざまな場面で演出上の“肉付け”が施されているほか、ラストシーンでは大きな改変が行われている。

 まず挙げるべきは、“肉欲”というテーマの強調だろう。「どうかして、この肉体と感情的な欲望から離脱しないと」「乗り越えてみせる、世俗も肉欲も!」といったセリフに象徴されるように、ハサウェイが人間的な欲望と崇高な大義とのあいだで引き裂かれる様が視覚的に表現されている。

 そのことがよく分かるのが、食事シーンの描き方だ。作中ではギギがステーキを食べるシーンなどが生々しいリアリティで描かれる一方、ハサウェイはまともに食事をとらない。また物語の序盤、恋人のケリアがカレーを食べるシーンがあるのだが、ハサウェイがその咀嚼音に不快感を抱くような姿が描かれている。

 「食べる」ことは、人間の身体性をもっとも如実に表した行為と言っていいだろう。ハサウェイが食事シーンから疎外されているのは、彼が人間的な欲望を乗り越え、理想や大義のために生きようとする人物であることを示している。

 さらに終盤で追加されたアニメオリジナルの展開も、同作のテーマ性を示すものとなっていた。

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