生方美久が明かす『Tシャツが乾くまで』タイトルに隠した仕掛け 「含みを持たせたかった」
蒼井優主演のTBS金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』の脚本を手がける生方美久のインタビューコメントが公開された。
本作は、とある事故に巻き込まれた2組の夫婦の“愛”と“秘密”を描くオリジナルストーリー。ある夏の日、当たり前に続いていくと思っていた2組の夫婦の幸せな日常が、事故をきっかけに突如として崩れ去っていく。さらに、その事故が暴いたのは、愛する人の“第3金曜日の秘密”だった。2組の夫婦の喪失から始まる“愛”と“秘密”の物語が描かれる。
生方は、『silent』(フジテレビ系)、『いちばんすきな花』(フジテレビ系)、『海のはじまり』(フジテレビ系)などを執筆してきており、本作がTBS作品初執筆となる。
主演の蒼井について、生方は「脚本家になる前から、好きな俳優さんを聞かれたら“蒼井優さん”とずっとお名前を出していて、自分の書いたセリフを蒼井さんに言っていただくことが目標になるくらい憧れていました」とコメント。
話題を集める作品タイトルについては、「実はTシャツではなくて、Yシャツという案もあったんです。でも、『Yシャツだと一気に“不倫感”が上がりませんか?』となって(笑)。その点、Tシャツは、男女の差があまりないフラットなもの。含みを持たせる意味で、『Tシャツが乾く前に』という案もありましたが、語呂などを考えて、最終的に『Tシャツが乾くまで』に行き着きました」と語った。
本作の楽しみ方については、「私は『自分には想像できない言動をとる人間を見る面白さがある』と思っているので、今作はそういう、“フィルターを通して見る”みたいな、少し距離をとった見方もおすすめしたいです」と視聴者へ見どころを明かした。
生方美久(脚本)コメント
ここまでの放送を観て感じたこと
今回、主演の蒼井優さんをはじめ、TBSさんのドラマも演出の土井裕泰監督とも初めてご一緒させていただいているので、「こういうお芝居、演出になるのか」というイメージとの違いがおもしろい部分や、美術や衣装なども含め、自分の頭の中にあったときの映像がさらに膨らんだ感覚がすごく面白かったです。
よく「小説を書かないか」と言っていただく機会があるのですが、私が脚本を書きたい理由として、映像になったものを見たいというのが一番大きいんです。なので、すごくワクワクしながら、一視聴者として楽しんでいます。
キャスト陣の芝居をどう受け止めたか
脚本家になる前から、好きな俳優さんを聞かれたら「蒼井優さん」とずっとお名前を出していて、自分の書いたセリフを蒼井さんに言っていただくことが目標になるくらい憧れていました。今回、本読みの場で初めてお会いしたのですが、その一言めから本当に圧倒的で。衣装も着ていない状態にもかかわらず、こんなにも咲子になれるのかと。声を聞いただけでもう……。本当に素晴らしい俳優さんだと思いました。
映像を見たら、自分の思い描いていた咲子でもあるし、私の想像を悠々と超えていってくださっていて。とにかくすごかったです!
印象に残っているシーンについて
周りの人から「あそこすごかったね」と言われたのが、第1話の警察で咲子が充の遺品を見たときに、少し笑ってしまうシーンです。
脚本を書くにあたって、ご遺族の反応についても調べました。その中で、落ち込む、泣くということはもちろんありますが、予期せぬ死を迎えると、ある種のパニックになって、余計なことを言ってしまったり、笑ってしまったりという反応が自然にあるらしいんです。
でもそれをドラマで描くと、視聴者からは「もっと悲しむだろう」とか「普通は笑わないだろう」と思われてしまいがち。だから、お芝居の塩梅によってすごく見え方が変わってくるだろうなと思っていたのですが、蒼井さんが、“何とか悲しみをごまかしている”さまを見事に演じてくださいました。
「夫婦」や「結婚」についてもリサーチを
はい。ただ、調べれば調べるほど「人それぞれすぎる」となってしまいました(笑)。夫婦の在り方に正解はありません。年齢のせいもあるのかもしれませんが、私の周りは結婚を最終目的とした婚活のマッチングアプリをする人が多いんです。マッチングアプリを通して出会った2人は、知りたい情報を開示し合った上で「じゃあ付き合います」「じゃあ結婚しましょう」となる関係性だと思います。
隠し事があるかないかはそれぞれですし、今回のドラマの中に直接込めたわけではないですが、最初から情報を開示している夫婦が増えている中で、“言えなかったことを持っている夫婦”というのは面白いかも、とは思いました。
キャラクター作りで意識したこと
今回、キャラクターを分かりやすく対照的にすることはなかったです。例えば男性だったら、樹生と充を真逆のタイプにしようと意識することはなくて、主人公の咲子を中心に置いたときのバランスを考えました。「いなくなっても信じたい」という思いを貫くくらい充のことが好きな咲子がいて、樹生は充とは少し違うタイプだけど、どこか安心感みたいなものを抱いてしまう相手。でも恋愛にすぐ踏み込むのは違うな、みたいな感じで。
現実の恋愛でも、過去の恋人を思い返したときに、「全員同じタイプだった」という人もいるけど、「こういう人もいたし、ああいう人もいた」みたいな人の方が、案外多いじゃないですか。それと一緒です。
ただ、咲子と樹生は、お互いに(夫と妻を)“喪失”しているので、匂いや境遇など、似ている部分に惹かれることもあれば、違うから安心することもある。矛盾するけれど近づいてしまうところは、調整しながら作っていきました。
タイトルの制作経緯
お題をいただいて企画を具体化するなかで、“コインランドリー”という場所や、“洗濯”をメタファーにした作品を作りたいと思いました。それを元にタイトルも考えていきました。スタッフさんとも「じゃあ、『何かが乾く』みたいな要素を入れたいですね」と話をしていく中で、実はTシャツではなくて、Yシャツという案もあったんです。でも、「Yシャツだと一気に“不倫感”が上がりませんか?」となって(笑)。
その点、Tシャツは、男女の差があまりないフラットなもの。含みを持たせる意味で、『Tシャツが乾く前に』という案もありましたが、語呂などを考えて、最終的に『Tシャツが乾くまで』に行き着きました。このタイトルだと、どういう話なのかは分からないけれど、逆に興味を引くかなと。そういう意味でも気に入っています。周りからも「タイトルいいね」と、すごく言っていただきます。
視聴者へのメッセージ
情報解禁時「共感や感動を目指した物語ではないので、人間観察の感覚でお楽しみください」とお話ししたのですが、第1話を見た松山ケンイチさんから「共感と感動、あったよ!」と言っていただきました。たしかに、要所要所で感情移入してグッとくるところはあるかもしれません。
私は「自分には想像できない言動をとる人間を見る面白さがある」と思っているので、今作はそういう、“フィルターを通して見る”みたいな、少し距離をとった見方もおすすめしたいです。
ただ、どんなドラマの楽しみ方も正解だと思います。考察したり、考察されたものを読んだりするのも楽しみ方の一つです。1回目はあまり勘繰りすぎずフラットに見ていただき、2回目は見逃し配信などでじっくりセリフを拾っていただくと、純粋に驚いたり悲しんだりしていただけると思います。
■放送情報
金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
U-NEXT、Netflixにて配信
出演:蒼井優、中島歩、高橋文哉、夏帆、松山ケンイチ、リリー・フランキー、臼田あさ美、齋藤飛鳥、庄司浩平、久保田薫、飛永翼ほか
脚本:生方美久
演出:土井裕泰、塚本連平、小牧桜
音楽:haruka nakamura
主題歌:スピッツ「見知らぬ糸」(Polydor Records)
プロデューサー:千葉行利、宮川晶
製作:ケイファクトリー、TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/tshirt_ga_kawakumade_tbs
公式X(旧Twitter):@tshirts_tbs