『君の好きは無敵』が描く“好き”の恐ろしさ 幸せだけでは終わらない感情の正体
推し活文化が広く浸透した今だからこそ、私たちは杏奈の失敗を自戒として心に刻む必要がある。推しのために時間やお金を惜しみなくつぎ込み、自分自身のケアや生活が後回しになっている人も少なくない。それは本当に推しから望まれていることなのか。そもそも、自分の行動は本当に推しのためになっているのか。推しのために、本当にすべきことは何なのか。ふと立ち止まって、冷静に考えることが必要なのかもしれない。
杏奈には、プライベートな時間を削って仕事に打ち込むとか、自腹を切ってアドバイザーを雇うとか、自分を犠牲にする前にもっとやるべきことがあった。杏奈にギャラを払うため、改心したと思われた高井から再びキャラクターデザインの依頼を受けた瀬尾。しかし、高井の逮捕をきっかけに、かつて瀬尾が描いたキャラクターが海外で不正利用されており、いつの間にかハイエナのデザインが盗まれていたことも判明する。杏奈がギリギリのところで阻止したものの、権利関係の手続きを後回しにし、セキュリティの管理もずさんだったせいで、ハイエナが不正利用される可能性だってあった。
もう一つ杏奈がすべきだったのは、自分を大切にすること。時間もお金もハイエナちゃんに費やした結果、杏奈の身体や心が壊れてしまったら、元も子もない。瀬尾一人では、ハイエナちゃんを売り出していくことはできないのだから。杏奈が元気でいることが瀬尾のためになり、ひいてはハイエナのためになるのである。
一方、瀬尾の杏奈に対する態度も少しずつ変わり始めている。杏奈は今まで「好き」に無自覚だっただけで、麦のことは本当に、本当に大好きだったのだ。そんな麦にフラれた悲しみが改めて襲い、涙が止まらなくなる。そこで、瀬尾が手渡したのは「チュチュチュエラ」と名付けられたハイエナのぬいぐるみ。“チュチュ”は杏奈が瀬尾に話した幼少期のエピソードから取ったもので、“チュエラ”はフランス語で「君はそこにいる」という意味だ。そこには、「自分のキャラクターでまずは目の前にいる杏奈を支えたい」という瀬尾の思いが込められているのではないだろうか。
そんなチュチュチュエラのおかげで杏奈が笑顔を取り戻した瞬間、瀬尾の身体に電撃が走る。瀬尾は果たして恋に落ちたのだろうか。ビジネスパートナーだった杏奈と瀬尾の関係が大きく変化していく予感がした。
■放送情報
火曜ドラマ『君の好きは無敵』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:松本若菜、佐野勇斗、小野花梨、金田哲(はんにゃ.)、中村隼人、白本彩奈、島崎和歌子、藤井隆
脚本:宮本武史
演出:竹村謙太郎、府川亮介、渡部篤史、尾本克宏ほか
主題歌:星野源
プロデューサー:岩崎愛奈
協力プロデューサー:小髙夏実
編成:吉藤芽衣
取材協力:株式会社サンリオ
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kiminosukihamuteki_tbs/
公式X(旧Twitter):@kiminosuki_tbs