『風、薫る』平埜生成の“ツンデレ医師”にハマる人続出? 3度目の朝ドラで際立つ信頼感
りんが医師の許可なく患者を外出させた事件の後には、病院の処分が「意外に優しい……」と話す直美に、黒川は「君は甘いな。組織というものがわかっていない」と一蹴する。院長がりんを辞めさせないのは病院の保身にすぎないという事実を、黒川は現実として冷静に見つめている。そして、その会話を用務員の万作(飯尾和樹)が盗み聞きしていることに気づくやいなや、英語に切り替える洞察力と機転も見せた。
平埜自身はXで「正しいか。看護師として、医者として、組織として、それぞれの立場の正しさがある」(※)と呟いていたが、全方位にフラットな黒川という人物像を掘り下げた解像度の高い発言だと言えるだろう。
新潟に戻った黒川は、トレインドナースのいない自分の病院に、りんを看護婦長として迎えたいと誘う。看護婦をやめたりんへの心配や同情というより、本当に必要だからという冷静な判断ゆえだと感じさせる態度だった。優秀な人材として認め、必要とされることは、実は何より嬉しいことではないだろうか。最初は冷たくて嫌なやつだったはずなのに、それが逆に信頼に足る人だと思わせるのは、平埜の持つ誠実な雰囲気によるものも大きいと感じる。
平埜は、過去にもNHK連続テレビ小説に出演しており、『カムカムエブリバディ』(2021年度後期)では主人公・ひなた(川栄李奈)の優しい先輩であり、女優に恋して失恋する「いい人」すぎる役柄を、『虎に翼』(2024年度前期)では、主人公・寅子の裁判所での同僚で、朝鮮出身の香淑と結婚し彼女を守り抜くという役を演じた。派手さはないかもしれないが、静かな情熱と確固たる信念を持つ役柄に、少し古風ともいえる端正な顔立ちと、まっすぐな眼差しが似合っていた。
ちなみに、医師・黒川のモデルとなった人物は、新潟の大病院の院長を昭和になるまでの長きに渡って務めたと聞く。黒川の出番もまだまだありそうだ。平埜がこの先、どんな表情を見せてくれるのか、期待して見守りたい。
参照
※ https://x.com/kinarichanda/status/2074637147840413878
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK