『Tシャツが乾くまで』に中島歩が起用された必然 つかみどころのない“魔性”が生む説得力
2026年夏ドラマの中でも第1話放送から大きな反響を呼んでいる金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS系)は、SNSでもさまざまな考察が飛び交う。主人公・瀬尾咲子(蒼井優)の夫・充(松山ケンイチ)と、中島歩演じる園田樹生の妻・あずさ(夏帆)がバス事故に巻き込まれ、あずさは死亡、充は行方不明となってしまう。
樹生が妻・あずさと充が不倫関係にあるのでは? と疑いを持ったのは、第3金曜日の昼間に2人がコインランドリーで親しげに話している場面に遭遇したからだ。あずさは古書店でパートをしているが、樹生が会社で使う大事な資料を忘れて家に取りに戻った日が第3金曜日で、2人の行動を追って浮気を疑ったのだった。
公式サイトでは園田樹生について、製菓メーカーに勤務する生真面目で不器用な“ちょっと残念な男”と紹介されている。本作は、18年ぶり地上波ドラマ主演にしてTBSドラマ初主演の蒼井優と、『silent』(2022年/フジテレビ系)をはじめ、『いちばん好きな花』(2023年/フジテレビ系)、『海のはじまり』(2024年/フジテレビ系)など新しい作品を世に出すたびにファンを増やしている脚本家・生方美久にとって、本作がTBSドラマ初執筆となることも放送前から話題となっていた。
また、演出は『カルテット』(2017年/TBS系)、映画『花束みたいな恋をした』(2021年)、Netflixシリーズ『九条の大罪』(2026年)など、ラブストーリーからサスペンスまで、ドラマ・映画でヒット作を手がける土井裕泰。今回の、この「2組の夫婦の喪失から始まる“愛”と“秘密”の物語」が注目されないわけがない。
中島も期待のドラマの宣伝を兼ねたバラエティ番組に出演して、真面目に活躍している。大学時代は落語研究会に入って活動しながら、モデルとしてデビュー。公開トーク番組『A-Studio+』(TBS系)で大先輩の笑福亭鶴瓶に「落語研究会にいながらモデルやるって、おかしい」と驚かれていたが、真面目で人の話を真摯に聞いているようで、独特の間があったり、不思議なタイミングで会話がズレるのも面白いのだ。
1月にはスペシャルドラマとしてメインキャストが再集結した『不適切にもほどがある!』(TBS系)で、昭和の熱血教師・安森を演じた。低音の落ち着いた声とルックスの良さがギャップとなり、生真面目ゆえにどこかズレて憎めないコミカルさが印象的だった。
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』では、織田信長(小栗旬)の妹・市(宮崎あおい)と、政略結婚ではあるが円満な夫婦関係を築いた、誠実で凛々しい浅井長政を好演。気難しい信長でさえ、本当の弟のように接し、相撲を楽しんだり、普段は見せない素の顔を見せるなど、心を許したような表情で長政を見つめていた。ところが市とも信長とも良い関係を築いていたのに、浅井家と古くから関係の深い織田家が対立すると市の身を案じ、難しい立場に追い込まれてしまう。最期まで市への愛を貫き、まさに愛に生きる誠実な武将としての魅力が溢れていた。