『さよならノワール』小池栄子&北香那が向き合った母子の断絶 神野三鈴の慟哭が胸を打つ

 塾講師だった綾子は、勉強が得意ではなかった圭を受け入れられずにいた。さらに圭から、自分は女性として生きたいと打ち明けられた際にも、その思いを認めることができなかった。その後、圭は家を飛び出した。自分を恨んでいるかもしれない。そう考えながらも、綾子は目の前の遺体が圭であることを否定し続けていた。

 一方、圭の家を調べた鴨居と絵梨子は、押し入れにしまわれた大量のスーツケースを発見する。中から出てきたのは、華やかな服やウィッグの数々。圭は介護士として真面目に働く一方、金を得るために薬物の運び屋にも手を染めていたが、いくつもの名前を使い、女性の姿で出かけていたことまで危険な仕事のためだったわけではない。人に優しく接する圭にとって、さまざまな服をまとい、別の名前で過ごす時間は、自分らしくいられる大切な楽しみでもあったのだ。

 夏海は綾子に、「彼女の生き方を受け止めてあげてもらえませんか?」と問いかける。それでも綾子は「あの子じゃない」と繰り返し、再び圭へ電話をかける。しかし、今度こそ電話の向こうに息子はいない。綾子が会話をしていたのは、亡くなった圭ではなく、自分が受け入れたかった“息子”だったのだろう。

 圭が薬物の運び屋をしていた事実は消えない。だが、自分の心が女性であることについては、母に本心を打ち明けていた。圭を遠ざけたのは、その思いを受け入れられなかった綾子のほうだったのだ。それでも綾子は、圭が自分とは異なる生き方を選び、いくつもの名前や姿を楽しみながら生きていた事実と、ようやく向き合うことになる。

 そして絵梨子は、「私、黒木さんを助けたいんです!」と夏海に告げる。被害者や遺族だけでなく、これまで他人を支えてきた夏海自身もまた、抱えているものがある。物語が、夏海の隠された過去にも踏み込んでいくことを予感させるラストとなった。

■放送情報
『さよならノワール』
フジテレビ系にて、週火曜21:00〜21:54放送
出演:小池栄子、北香那、岡山天音、荒川良々、味方良介、濱尾ノリタカ、利重剛、眞島秀和、岡部たかし、浅野和之、戸田恵子、渡部篤郎 他
脚本:井上由美子
演出:河毛俊作、清矢明子、柳沢凌介
音楽:菊地成孔
主題歌:chilldspot「ドラマ」(RECA Records)
衣装:伊賀大介
心理監修:石橋昭良(臨床心理士/非行臨床研究所)
警察監修:石坂隆昌(ユヌ・ファクトリー)
プロデュース:狩野雄太(スタジオ戦略本部 第1スタジオ ドラマ・映画制作センター)
制作プロデューサー:清家優輝、岸川正史(ファインエンターテイメント)
制作協力:ファインエンターテイメント
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/sayonaranoir-cx/
公式X(旧Twitter):https://x.com/sayonaranoir_cx

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