『風、薫る』“女学校編”が視聴者の心を掴んだ理由 『虎に翼』にも通じる女性たちの連帯

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』は、折り返しとなる第12週となった。一ノ瀬りん(見上愛)と大塚直美(上坂樹里)は、トレインドナースになるべく梅岡女学校附属看護婦養成所で勉強し、さらに病院での実習を積んで、いよいよ卒業の時を迎える。恩師や仲間たちと出会った女学校編を振り返ってみたい。

 主人公の成長を追う朝ドラでは、学生時代が重要な意味を持つことも多い。『あんぱん』(2025年度前期)では、朝田のぶ(今田美桜)が教師になるために女学校に通い、軍国主義に染まっていく様子が描かれた。『花子とアン』(2014年度前期)では、田舎出身の村岡花子(吉高由里子)が、お嬢様が集う女学校の中で英語を学び、友情を育み、翻訳家になっていく過程が描かれた。

 『風、薫る』の学生時代は、『虎に翼』(2024年度前期)のそれに近いように感じる。時代は離れているが、寅子たちが明律大学女子部法科の二期生であったことと、りんたちが看護婦養成所一期生という境遇が似ているのかもしれない。寅子たちの歩んだ司法の世界でも女性の地位は低く、道も狭かった。りんたちの看護の仕事も、日本ではまだ理解されておらず、最下層の仕事だという認識だ。並大抵の覚悟がなければ志望することがない職業というのも共通点だろう。

 さまざまな背景を持った個性豊かな同級生たちが集っているのも似ている。りんは武家の娘だったが、離縁を経て娘を養わなければならないし、直美はみなしごで、文字通り生きるために仕事を探さなければならなかった。2人は、大山捨松(多部未華子)にその才覚を見出され、日本初の看護婦養成所に入学することになる。(この展開も、寅子が穂高教授(小林薫)に女子部に誘われるのに似ている)。

 そのほかの学生5人も、それぞれに事情がある面々だ。玉田多江(生田絵梨花)は医者の娘だが、医者にはなれず、忸怩たる思いを抱えている。泉喜代(菊池亜希子)は30歳と年長で、子どもができないことを理由に離縁されている。東雲ゆき(中井友望)は名家の出身でありながらナイチンゲールに憧れ、女学校を辞めてまでも看護婦養成所に入学。柳田しのぶ(木越明)は裕福な呉服屋の娘だが、勉強も縁談にも興味がなく、看護師の制服に憧れて入学してきた。そして、工藤トメ(原嶋凛)は東北の豪農出身だが、兄を病で亡くしており、それをきっかけに看護婦を目指している。

 この学生たちが最初に出会う困難といえば、朝ドラ女学校編には必ずと言っていいほど登場する、一癖ある教師だ。りんたちの前に立ちはだかったのは、スコットランド出身の看護教師・マーガレット・バーンズ(エマ・ハワード)。バーンズは、日本語ができないふりをして多くを語らず、生徒たちに毎日ひたすらシーツの取り替えを命じる。そして、チェックのたびに「これは看護ではない(英語)」とダメ出しをする。りんは「教えてくれなければわからない」と抗議するのだが、「自分で考えなさい(英語)」と言われてしまう。看護とは「observe(観察)」だとナイチンゲールの教科書に書いてはあっても、りんたちにはそれがどういうことなのかわからない。

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