のせりんが目指す理想の役者像とは? “芝居を超えた”『ライフセーバー!』で得たもの
映画『ライフセーバー!』で初主演を務めるのせりん。モデルとして圧倒的な支持を集めながら、『僕達はまだその星の校則を知らない』(カンテレ・フジテレビ系)での好演など、近年は俳優としても独自の存在感を放っている。当初は「ゴリゴリの体育会系」が想定されていたという本作の主人公・大友勇輝は、のせりんの起用によって等身大の青年へと姿を変えた。福井県高浜町の美しい海を舞台に、過酷な撮影を乗り越えた彼が、本作を通して得たものはなんだったのか。いま役者の仕事とどう向き合っているのかじっくりと話を聞いた。
「予想していなかった展開だからこそ面白く取り組むことができた」
ーー映像の仕事を始められてから様々な現場を経験されていますが、役者としてやっていこうと決断した一番のきっかけは何だったのでしょうか?
のせりん:明確にあって、一昨年の春に1カ月間、長野県で撮影した映画(※未発表)です。オーディションで決まった役だったんですが、なぜか「自分はこの仕事を長く続けるな」と感じました。1カ月間、現場と部屋を行き来して台本と向き合う生活をして、自分にとって大きな転機となる経験でした。もちろんそれまでの作品もやる気がなかったわけではないのですが、『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)など同世代が多い現場では「友達がたくさんできた!」という感覚も強くて(笑)。その後の長野での撮影が、気持ち的に大きな転機になりました。
ーーそこから繋がったのが、今回の映画『ライフセーバー!』での初主演ですね。最初に企画を聞いたときは戸惑いもあったとか。
のせりん:もちろんありました。主演ということもありますし、最初は「ゴリゴリの体育会系」のような主人公像だと聞いていたので、今の自分ではない要素まみれで戸惑いました。自分自身、高校の進路の段階からやりたいことが特になく、ふわふわしていたのは事実ですが、高校在学中から、ファッションモデルとしての活動はしっかりと行っておりました。お芝居を本格的に始めたのは『最高の教師』がきっかけでしたので、それまでの間はファッションの世界におりました。結果的に、等身大の勇輝という役に出会えて、予想していなかった展開だからこそ面白く取り組むことができました。
ーー撮影は2025年の夏の終わりだったそうですが、肉体を駆使する過酷な現場だったことが映画からも伝わりました。
のせりん:8月末から9月いっぱいにかけてで、まだまだ本当に暑い時期でした。僕は小中と10年ぐらいサッカーをやっていたので体を動かすこと自体は好きなんですが、今回は本当にごまかしが効かない役柄でした。とにかく走って泳いで、の繰り返しで。とくに「泳ぐ」のは走る以上に体力の消費が激しくて、感覚的には2倍くらい疲れます。
ーー水中カメラを使ったり、本物の海で撮影されていたりと、ドキュメンタリーのようにも見えました。
のせりん:GoProを使って水中を撮ったり、実際に必死に泳いだり走ったりしているときは、もはや「芝居をしている」という感覚ではありませんでした。ただ、体力的にはきつかったですが、異常に疲れている芝居をするのもそれはそれで難しさもあって。天候の影響でスケジュールが変動することはありましたが、勇輝が少しずつ成長していく人間関係のプロセスなどは順番に撮っていただけたので、お芝居は乗せやすかったです。
ーー本作には演技の達人のような方や厳しい訓練を積んできた方も出演されていますが、共演者の方に触れて凄さを感じたエピソードはありますか?
のせりん:酒井敏也さんです。ものすごく仲良くさせていただきました。誰もが知っている大先輩なので最初は緊張していたんですが、いざ現場に入ると、同い年の子と喋っているような感覚なんです(※酒井敏也は現在67歳)。いらっしゃるだけで緊張しないし和むんですが、カメラが回るとシュッと役に入られていて本当に凄かったです。