のせりんを誰もが応援したくなる 福井の美しさが詰まった『ライフセーバー!』の輝き

 本作を秀作にしているのは、のせりんだけではない。先述の「魅力的な女性キャラ」を演じる伊礼姫奈に、ぜひ注目してほしい。彼女が演じているのは、のせりんが加入する「若狭和田ライフセービングクラブ」のメンバー・高森加奈である。彼女の特徴は、なんと言ってもその目の強さである。意思の強さが乗っかったその目で見据えられたら、こちらの心はすべて見透かされたような気分になる。噓がつけなくなる。

 初めて彼女を観たのは、『EVOL(イーヴォー)~しょぼ能力で世界を滅ぼせ。~』(DMM TV)という、2023年の配信ドラマだった。自死失敗の果てに、なぜかライターぐらいの炎を出せるようになる、プチ超能力少女を演じている。このときの彼女は、「この世の中をぶち壊したい」と思っていたため、その目は目力で穴を開けそうなほどに鋭く強かった。その目力に魅せられて、当時コラムを書いた。

『EVOL(イーヴォー)』は超能力版『俺たちに明日はない』だ 伊礼姫奈の鋭い目つきが絶品

一度でも「こんな世界、なくなってしまえばいい」と思ったことがある方は、『EVOL(イーヴォー)~しょぼ能力で、正義を滅ぼせ。~』…

 再び彼女の強い目を見ることができて、僥倖である。

 もうひとり忘れてはならない人物がいる。その「若狭和田ライフセービングクラブ」のリーダーである立石を演じる、徳重聡だ。とにかく熱い。そして暑い。「人を守り、海の安全を護る。それがライフセーバーだ」と、まっすぐな目と一切邪心のない笑顔で語る彼は、正しく昭和のヒーローのようであった。その熱い芝居は、『スクール☆ウォーズ』(TBS系)などの、昭和の大映テレビ制作ドラマ的でもある。彼の熱さが、体温が低そうなのせりんとのいいコントラストになっていた。熱い昭和の男と一見ドライな令和男子が、同じ志を持った同志となるさまには、胸が熱くなった。

 体もしっかり仕上げてあり、ライフセーバーとしての説得力に溢れていた。アラフィフであの体を作り、キープするのは並大抵ではない。今は細いのせりんも、この物語から数年後には、徳重のような体になっているのだろうか。

 児玉監督の「福井3部作」(勝手に名づけた)には、定規で引いたようにまっすぐな人間ばかりが出てくる。気恥ずかしく思う向きもあるかもしれないが、心が洗われた気分にもなる。今年の夏は、若狭の海を訪れてみてほしい。映画で描かれたような、大きく美しい海が広がっている。そして、その海を護るライフセーバーのみなさんの尽力も、忘れないでほしい。

■公開情報
『ライフセーバー!』
福井にて先行公開中、6月12日(金)より全国公開
出演:のせりん、徳重聡、伊礼姫奈、中山卓也、松川尚瑠輝、手塚真生、古田耕子、中山エミリ、酒井敏也、風間トオル、西岡德馬
監督・脚本:児玉宜久
プロデューサー:河合広栄
エンディング曲:「わたしのねがい」関取花
音楽:中西ゆういちろう
制作プロダクション:広栄
配給:日活
製作:「太陽の守護神」製作委員会
©映画「太陽の守護神」製作委員会
公式サイト:https://lifesavermovie.jp/

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