興収で読む北米映画トレンド

『最終絶叫計画』北米No.1 『Backrooms』『オブセッション』との“ホラートライアングル”に

 初夏のハリウッドは空前のホラーブームだ。6月5日~7日の北米映画ランキングは、『最終絶叫計画』シリーズの13年ぶり最新作『最終絶叫計画 令和!』がNo.1に輝いた。第3位『Backrooms(原題)』、第4位『オブセッション 災愛』との“ホラートライアングル”となっている。

 『最終絶叫計画 令和!』は週末3日間で北米興収5500万ドルを記録。パラマウント・ピクチャーズのコメディ映画としては史上最高のオープニング、かつ純粋なコメディ映画が初動興収5000万ドルを超えたのは、2014年『22ジャンプストリート』以来12年ぶりの快挙だ。

 海外市場では5050万ドルを稼ぎ出し、世界オープニング興収は1億550万ドル。これは『最終絶叫計画』シリーズ史上最高で、また今年のヒット作『スクリーム7』(2026年)も上回るスタートとなった。製作費は3000万ドルだから、興行的成功は早くも堅い。

『最終絶叫計画 令和!』©2026 PARAMOUNT PICTURES.GHOST FACE SPOOF MASKS PROTECTED UNDER COPYRIGHT REGISTRATION FUN WORLD DIV., EASTER UNLIMITED INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 大人気パロディホラー『最終絶叫計画』シリーズの最新作で、第1作に携わったショーン&マーロン・ウェイアンズが、第2作『最“新”絶叫計画』(2001年)ぶりに脚本・製作・出演として復帰。シリーズの顔であるアンナ・ファリス&レジーナ・ホールも、『最終絶叫計画4』(2006年)以来のカムバックを果たした。

 その一方で本作は、ノスタルジーとともに最新のカルチャーをパロディの標的にした。『スクリーム』シリーズはもちろん、『ゲット・アウト』(2017年)や『M3GAN/ミーガン』シリーズ、『ロングレッグス』(2024年)、『WEAPONS/ウェポンズ』(2025年)、さらに最新作の『Michael/マイケル』や『Backrooms』まで視野に収め、現在のハリウッドを取り巻く続編・リブート・スピンオフ戦略さえ取り込んでいる。製作陣はギリギリまでネタを投入するため、追加撮影の予算も確保していたというのだ。

 長寿シリーズながら、観客層は30歳未満が62%、35歳未満では75%と若年層に偏った。もっとも過去作を観たことがある観客が90%を超えたというから、まずはファンが初週末に駆けつけたことになる。広報・宣伝はテレビ広告よりもデジタルに注力し、ソーシャル・コンテンツの視聴数は10億回を突破。パロディとジョークたっぷりの映像がユーザーに刺さったとみられる。

 Rotten Tomatoesでは批評家スコアこそ24%と散々だが、これはホラー&パロディというジャンルものの宿命だろう。観客スコアは69%、映画館の出口調査に基づくCinemaScoreも「C+」と高くないが、別の出口調査では「強く勧める」が63%。批評やスコアには回収されない体験としての満足度を感じさせる結果だ。日本公開は6月26日。

 また、A24『Backrooms』は首位を譲り、第3位にランクイン。週末興収は2594万ドルで、前週比マイナス68.1%と大幅減だが、公開後10日間の世界興収は2億1260万ドル。ティモシー・シャラメ主演『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』の1億9127万ドルを抜き、早くもA24史上最高興収作品となった。

『Backrooms(原題)』©2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.

 2週目で数字が落ち込んだのは、そもそも本作がネット発の(ある意味では)大型IP作品で、初週末は実質的にファン主導の興行だったことが大きな要因とみられる。また、意外にも『最終絶叫計画 令和!』と若い観客を取り合ったことの影響もあるだろう。本作は、公開2週目も観客の81%が35歳未満だったのだ。

 そんな中で驚かされるのが、第4位『オブセッション 災愛』の驚異的な粘りだ。公開4週目にもかかわらず、週末興収は2560万ドルで、前週比わずかマイナス6.6%。『Backrooms』とはわずか34万ドルの僅差となった。

『オブセッション 災愛』©2026 Focus Features LLC.

 世界興収は2億2479万ドルで、Focus Featuresの歴代最高興収を更新。『Backrooms』がスタートダッシュで爆発した一方、『オブセッション 災愛』は口コミで観客を広げており、いまや若年層のみならず40~50代の観客も劇場に足を運んでいる。日本公開は7月17日。

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