『映画ドラえもん』が『海底鬼岩城』をリメイクした意義 “心”の在り方を捉える一作に
今回の『新・のび太の海底鬼岩城』においては、バギーの好戦的な性格は柔らかく封じられており(「チャチトハナンダ」を聞きたかったのだが)、のび太たちとの関係も良好なまま話が進んでいくし、「友達とは?」など自ら知らないことを知ろうとする姿勢も見受けられる。これは全体的な脚色点とともに、近年の『映画ドラえもん』シリーズに流れる穏やかさのあらわれでもあり、同時に、のび太を鑑賞者の共感の対象にしようとする作り手の狙いも少なからずあるのだろう。
あくまでもバギーとドラえもんたちとの関係は、道具と道具を使う者たちではなく“友人”。 こうすることで、「機械は心を持つのか?」というテーマをわかりやすく見せるための道筋が出来上がる。終盤に多少説明じみた台詞があるものの、ギリギリのところでそれについて考えるための余白を与えてくれるのである。劇中、しずかの優しさに触れたバギーの頭のなかに過ぎるのは、これまでの持ち主との記憶。粗末に扱われ、取るに足らない道具のひとつとして心を失っていく過程の断片的な記憶である。
つまり、機械は人間との関わり合いを通して初めて心を手にいれるわけではない。ドラえもんのようにあらかじめ備わっているが、バギーの場合は心無い人間たちによって奪われてしまっただけなのである。現実社会において、人工知能という存在が人間にとって便利でフレンドリーなものでいつづけてくれるのか、それとも誰かに危害を加える悪しきものへと堕ちてしまうのかが、使う者によって左右されるのと同じことだ。もちろんそれは、人間同士の関係にもそっくりそのまま当てはめることができるかもしれない。
■公開情報
『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』
全国公開中
キャスト:水田わさび(ラえもん役)、大原めぐみ(のび太役)、かかずゆみ(しずか役)、木村昴(ジャイアン役)、関智一(スネ夫役)、千葉翔也(エル役)、広橋涼(水中バギー役)
原作:藤子・F・不二雄
監督:矢嶋哲生
脚本:村山功
主題歌:sumika「Honto」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給:東宝
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