仲野太賀×池松壮亮の“笑顔”が視聴者を見方に 『豊臣兄弟!』が見つめる戦国時代の残酷さ

八津弘幸脚本『豊臣兄弟!』(NHK総合)が面白い。主人公は、天下人の弟・豊臣秀長(仲野太賀)。兄・秀吉(池松壮亮)と共に、戦国の世を駆け抜ける。
久々の「戦国大河」ということで、『秀吉』(1996年)や『利家とまつ~加賀百万石物語』(2002年)など同時代を描いた歴代大河と重ねて観ずにはいられない「王道」回帰の作品であるとともに、仲野太賀、池松壮亮はもちろん、多くの若手俳優たちの好演が目立つ作品でもある。そして何より、今はまだ「何も知らない」彼らを通して、彼らが置かれている世界の残酷さを見つめるドラマなのではないだろうか。

『豊臣兄弟!』の最大の魅力は、池松壮亮演じる藤吉郎(のちの豊臣秀吉)と仲野太賀演じる小一郎(のちの豊臣秀長)兄弟の屈託のない笑顔だと思う。「お気をつけあれ、彼らは人たらし。決して心奪われませぬように」という第1回冒頭における語り・安藤サクラの言葉通り、まさに「心奪われる」笑顔で視聴者を味方につける。
特に第4回終盤、桶狭間の戦い後の首実検の場面で、信長(小栗旬)に正直に自分の思いを打ち明けたことにより、期待していた以上の報酬を手に入れた時の、表情がコロコロと変わる「調子のよいサルたち」のかわいらしさといったらなかった。
本作の主軸は、そんな「人たらし」の兄弟の、一見とても順調な「サクセスストーリー」だ。第2回終盤に、幼なじみ・直(白石聖)と一緒に故郷を飛び出したと思ったら、すぐさま主君・信長に気に入られ、出世の道が見えてきた。彼らの主君である織田信長は、2人からすればとてもいい“上司”である。だいぶ無理のある「信長の草履を懐に入れていた」という言い訳も分かった上で受け入れてくれるし、正直に打ち明けたら「それは幸運だったな」と出世を取り消されることもない。本来は咎められるはずの、御前試合の前に施した細工も、小一郎の「戦わずして勝つ」策の見事さとして褒めちぎってくれる。それらは、藤吉郎と小一郎の真っ直ぐで物怖じしない人柄に思わず信長がほだされているというのもあるだろうが、本作が描く信長像そのものの新しさでもあるのだろう。

さらに、第5回では、本当は「真逆のことを言った」らしい元康(松下洸平)のアドバイスを素直に聞いて自分流に落とし込み、見事交渉を成立させる兄弟、主に藤吉郎の姿が描かれた。これにより、戦国時代の優秀な先輩・上司の教えを余すところなく吸収しながら、今後足軽から異例の大出世を成し遂げていくことになる藤吉郎と小一郎兄弟の「成功の理由」をしっかりと読み取ることができる。




















