『閃光のハサウェイ』Ξガンダムの素顔が明かされた意義 アナハイムの今後と反体制の象徴

『閃光のハサウェイ』Ξガンダムの素顔の意義

“反体制の象徴”でもあるガンダム

 そして、第3章以降Ξがガンダムとして扱われることは、作品として重要な意味を持つ。劇場版『閃光のハサウェイ』にて、ガンダムは連邦を象徴する機体として歓迎されている。量産型νガンダムが平然と前線に配備されていることからも、少なくとも連邦はガンダムを忌避していないと考えていいだろう。ゆえに、第1章では連邦の象徴たるガンダムのペーネロペーvsテロリストが持ち出した偽ガンダムという対比構造が成り立っていた。

 しかし、Ξがガンダムとなった今、両機の対決は本物vs偽物という単純なものではなくなる。ガンダムは確かに連邦を象徴する機体だ。一方で、小説版でブライト・ノアが語っていた通り、ガンダムは反骨精神を持った者が乗る“反体制の象徴”でもある。そのため、Ξガンダムが“ガンダムもどき”の仮面を捨て去ったのは、一介のテロリストでしかなかったハサウェイが、真の意味で反体制派の象徴として立つ。そんな展開を示唆しているのかもしれない。

 また、Ξがガンダムであることを晒したのは、宇宙世紀0105年以降の展開の伏線となる可能性も高い。Ξの正体が偽装されていたことには、恐らく製造元であるアナハイム・エレクトロニクスの都合も関係している。グリプス戦役以降、作中ではアナハイム=ガンダムという印象が広まっていた。そのため、ガンダムの特徴を残したままマフティーに機体を流してしまうと、アナハイムがテロリストへ機体を横流ししていると知られてしまう。故に、小説では最後までΞはガンダムもどきとして扱われ、製造元すら判明しなかった。しかし、劇場版ではΞガンダムは素顔を晒している。これは、連邦とアナハイムの関係が薄くなり、サナリィが台頭してくる宇宙世紀0110年代以降の伏線となるのかもしれない。

 『キルケーの魔女』で暴かれた、Ξガンダムの素顔。それは単なるファンサービスに留まらず、ハサウェイの苦悩、そして作品の転換点を描いているのかもしれない。仮面を脱いだΞガンダムが導く結末は、果たして反体制派の希望となり得るのか? 今から第3章の公開が待ち切れない。

■公開情報
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
全国公開中
キャスト:小野賢章(ハサウェイ・ノア役)、上田麗奈(ギギ・アンダルシア役)、諏訪部順一(ケネス・スレッグ役)、斉藤壮馬(レーン・エイム役)
原作:富野由悠季、矢立肇
監督:村瀬修功
脚本:むとうやすゆき
キャラクターデザイン:pablo uchida、恩田尚之、工原しげき
キャラクターデザイン原案:美樹本晴彦
メカニカルデザイン:カトキハジメ、山根公利、中谷誠一、玄馬宣彦
メカニカルデザイン原案:森木靖泰、藤田一己
美術設定:岡田有章
美術監督:大久保錦一
色彩設計:すずきたかこ、久保木裕一
ディスプレイデザイン:佐山善則
CGディレクター:増尾隆幸
撮影監督:大山佳久
特技監督:上遠野学
編集:今井大介
音響演出:笠松広司
録音演出:木村絵理子
音楽:澤野弘之
企画・制作:サンライズ
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス/松竹
©創通・サンライズ
公式サイト:https://gundam-official.com/
公式X(旧Twitter):https://x.com/gundam_hathaway

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