『ハイスクール!奇面組』を令和の視聴者はどう観る? “昭和ギャグ”リブートの現在地

『奇面組』令和の視聴者はどう観る?

鳥山明と並んだ存在だった新沢基栄

 作品そのものの知名度も、当時に比べて薄れてしまっている。実は『奇面組』と新沢基栄は、あの鳥山明と並ぶ存在なのだ。1980年、『週刊少年ジャンプ』で後に大人気となる2つの漫画の連載がスタートする。1本は鳥山の『Dr.スランプ』で、もう1本が『3年奇面組』だった。

 1986年から1992年まで『週刊少年ジャンプ』の編集長を務めた後藤広喜が2018年に刊行した『「少年ジャンプ」黄金のキセキ』(集英社)によると、「『少年ジャンプ』が新人漫画賞を募集してからヒット作を飛ばした漫画化で、無冠の漫画家は鳥山明と新沢基栄(『3年奇面組』)だけである」とのこと。選外でありながら見どころを感じて編集者が声をかけたという意味で、新沢は鳥山と並ぶ存在だったと言える。

 『奇面組』の連載は『ハイスクール!奇面組』とタイトルを変えて1987年まで続いて当時の『週刊少年ジャンプ』を支える。秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』やゆでたまご『キン肉マン』は『奇面組』と併載され続け、そこに高橋陽一の『キャプテン翼』や北条司『キャッツ・アイ』、桂正和『ウイングマン』、『北斗の拳』などが加わり、鳥山の『ドラゴンボール』や車田正美『聖闘士星矢』も始まって、ギャグありバトルありラブコメありといった全方位のラインアップが揃っていく。

 ギャグ漫画の系譜も、徳弘正也『シェイプアップ乱』やえんどコイチ『ついでにとんちんかん』、佐藤正『燃える!お兄さん』などを経て、江川達也『まじかる☆タルるートくん』へと続いていく。後藤元編集長の『「少年ジャンプ」のキセキ』には、1970年代後半の『週刊少年ジャンプ』には、解決しなくてはならない緊急の課題として、子どもが好む「ギャグ漫画」と「対決漫画」の新規開拓があったと書かれている。

 対決ではすぐに『キン肉マン』が現れ、『北斗の拳』へと至り『ジョジョの奇妙な冒険』であり『幽☆遊☆白書』 であり『鬼滅の刃』『呪術廻戦』へと続く太い流れができた。ギャグでは『Dr.スランプ』であり『奇面組』がブーストの役割を担った。それだけの作品だったのだ。

 もっとも、『「少年ジャンプ」のキセキ』で大きくページを割かれている『Dr.スランプ』や鳥山に比べ、新沢も『奇面組』も登場はわずか数行。他のギャグ漫画もほとんど語られていない。それは、ギャグ漫画がその時々にこそ必要なものだからだろう。だからもし、令和版『奇面組』がこれから大いに盛り上がるとしたら、今に必要なものであることを知ってもらい、感じてもらう必要があると言えるのかもしれない。

■放送情報
TVアニメ『ハイスクール!奇面組』
フジテレビ系“ノイタミナ”にて、毎週金曜23:30〜放送
キャスト:関智一(一堂零役)、武内駿輔(冷越豪役)、松岡禎丞(出瀬潔役)、小林千晃(大間仁役)、戸谷菊之介(物星大役)、白石晴香(河川唯役)、長谷川育美(宇留千絵役)、佐久間大介(切出翔役)
原作:新沢基栄(集英社『週刊少年ジャンプ』刊)
監督:関和亮
アニメーションディレクター:西川鷹司
シリーズ構成:村越繁
キャラクターデザイン:阿部由佳
劇中歌プロデュース:Night Tempo
企画・プロデュース:スロウカーブ
アニメーション制作:アニメーションスタジオ・セブン
©新沢基栄/集英社・奇面組
公式サイト:kimengumi.com
公式X(旧Twitter):@kimengumi_anime
公式TikTok:@kimengumi_anime

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