興収で読む北米映画トレンド
北米映画市場、年間興収80億ドル突破 『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2』北米No.1

2025年の北米映画市場の累計興行収入が、年間80億ドルの大台を突破した。コロナ禍以降、80億ドルを超えるのはこれが3度目。昨年(2024年)は85億7000万ドルだったが、『バービー』と『オッペンハイマー』が大ヒットした2023年以来の90億ドル超えは実現なるか――。
今週、80億ドル突破のキープレイヤーとなったのが、人気ゲームの映画版第2弾『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2』だった。週末3日間の興行収入は6300万ドルで、事前の予想を大幅に上回るヒット。今年公開のホラー映画としては、『死霊館 最後の儀式』に次いでNo.2のスタートとなった。
感謝祭(サンクスギビング)後の週末としては、トム・クルーズ主演『ラスト サムライ』(2003年)を上回り最高記録を更新。年間49週目としても、『オーシャンズ11』(2001年)や『ライラの冒険 黄金の羅針盤』(2007年)を抜いて歴代最高記録となった。
12月公開のホラー映画としても、『スクリーム2』(1997年)を超えて史上最高のオープニング興収を記録。ユニバーサル・ピクチャーズの12月公開作品ではピーター・ジャクソン監督『キングコング』を抜いて過去最高となった。
2023年公開の前作『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』は、劇場公開と同時に配信がスタートしたにもかかわらず、オープニング興行収入8000万ドルという驚愕の記録を叩き出し、製作費2000万ドルに対して全世界興行収入2億9158万ドルという大ヒットとなった。本作のスタートはこれには及ばないものの、数々の記録更新が示しているように、ユニバーサル&ブラムハウスにとっては快挙だ。

世界的人気を誇るビデオゲームを映画化した本作は、前作と同じくゲームのファンを主なターゲットとする戦略を貫徹。感謝祭直後という、映画館への客足が遠のきがちな時期に、ヒットのカギである若年層を呼び込むことに成功した。観客を年代別に見ると、なんと全体の77%が25歳未満。また、全体の半数近くが18歳~24歳という層だったのである。
批評家の評価がかなり低い一方、観客評価が高いこともその証左だ。Rotten Tomatoesでは批評家スコア12%(!)に対し、観客評価は88%。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「B」評価を獲得した。ただし、ファン中心の興行は1週目に観客が偏りやすく、2週目以降の急落もありうる。口コミ効果がどこまで出るかが問題だろう。
海外76市場では興行収入4611万ドルを記録し、全世界興行収入は1億911万ドル。製作費は3600万ドルだから、やはり安定のフランチャイズパワーだ。日本公開は2026年1月23日。



















