『ぼくたちん家』玄一&ともえの“前向きな諦め”からの再出発 登場人物たちの幸せに変化も

『ぼくたちん家』玄一&ともえのリスタート

 索と別れてから目標を見つけられず、どうすれば好き勝手に生きれるのかと思い悩む吉田(井之脇海)は、玄一から「自分をよく見てみるとかですかね。目で見るんです。自分の目でじっくり」とアドバイスをもらう。そして、鏡に映る自分自身の似顔絵を描いている途中、指輪を描き忘れていることに気づき、ずっと指輪を外したかったのだと、あらためて本心と向き合う。父親としての役割に固執して、世間で言われる男のロマンを追い求めていた仁も、“市ヶ谷仁のロマン”を追うことを決意。それぞれ自分なりに見つけた新しい幸せに、きちんと目を向けることができたようだ。

 ようやくほたるの目の前で「帰ってきた」と宣言したともえ。2人で本みりんを隠し味に入れた味噌汁を食べる食卓は待ち望んでいた時間だが、束の間のひとときでもある。お母さんのことは好きだけど「許さないから」と素直な心の内を明かすほたる。それでも、涙を流しながら「ごめんね」と謝罪するともえに対して、ほたるはメガネをかけさせて間にティッシュを挟む。玄一に教えてもらった、涙を全部吸収できる拭き方を早速、実践する彼女の行動にはほっこりさせられた。

 ほたるの最後のお願いによって実現した三者面談は、もう何度目かもわからない不思議で異様な光景だった。ほたるの母親と元・父親、父親のフリをしていた玄一を前にして、当惑した表情を浮かべる索の反応はもっともだ。

 ほたるはギターを作る職人になるために、1人で長野県に行きたいという。それは今いる場所が嫌で離れたいからではなく、「間違っても、1人でも、案外どこでもやっていけるんだって思えた」から。めちゃくちゃな大人に囲まれながらも、自分のことを気にかけてくれる人がいることを知って、好きなものも将来のことも全部わからなかったほたるが、心の底から「何にでもなれる」と思うことができた。さまざまなカタチの家族に見守られて、将来の夢を宣言した彼女にとっても、この瞬間はリスタートのときだ。

 めちゃくちゃな大人と言われて嬉しがる玄一の姿は微笑ましい。そして、ほたるからの言葉を受け取り、ゲイで生まれて「ちょっと良かった」と思えたと索と語り合う姿に、心がじんわりと温かくなった。

『ぼくたちん家』の画像

ぼくたちん家

現代に様々な偏見の中で生きる“社会のすみっこ”にいる人々が、愛と自由と居場所を求めて、明るくたくましく生き抜く姿を描くホーム&ラブコメディ。

■放送情報
『ぼくたちん家』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:及川光博、手越祐也、白鳥玉季、田中直樹、渋谷凪咲、坂井真紀、光石研、麻生久美子
脚本:松本優紀、渋谷凪咲、田中直樹
演出:鯨岡弘識、北川瞳
インクルーシブプロデューサー:白川大介
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:河野英裕、西紀州、岡宅真由美
音楽:東川亜希子、神谷洵平
主題歌:「バームクーヘン」
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/bokutachinchi/
公式X(旧Twitter):https://x.com/bokutachinchi
公式Instagram:https://www.instagram.com/bokutachinchi/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@bokutachinchi

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