『ぼくたちん家』玄一&ともえの“前向きな諦め”からの再出発 登場人物たちの幸せに変化も

玄一(及川光博)の部屋に入り込んだ仁(光石研)がスーツケースに隠していた3000万円を持ち去ってしまった『ぼくたちん家』(日本テレビ系)第8話のラスト。しかし、第9話が始まるや否や、逃亡中の仁にバッタリと遭遇した警察官の松(土居志央梨)がほたる(白鳥玉季)の父親だと気づき、すぐに彼をアパートに連れ帰ってくる。
最初は「お父さんじゃないですこんな人」と言い張るほたるだったが、仁がいれば玄一への取調べや、学校や児童相談所への報告も必要ないと松が悔しがる姿を見て、一転して仁を本当のお父さんだと認める。松の情緒もあっちこっちに大忙しだ。
ただ、スーツケースの3000万円が戻ってきたとしても、横領したお金である事実は変わらない。ほたるが気にしていたのは、母親であるともえ(麻生久美子)が無事に家に戻ってこれるのかどうか。ほたるの寂しげな表情を観るたびに、母親宛の留守番電話に残せなかった「お母さん早く帰ってきてよ…」という切実な言葉が脳内をリフレインする。
一方で、全国のご当地キーホルダー集めが佳境を迎えていたともえは、奈良で自身のバッグをキーホルダーもろとも盗まれてしまい、小学生の頃の夢を叶えるまでもう一歩のところで帰路につくことを余儀なくされる。動物園で時間を潰している最中、玄一と再会した彼女が目的を果たせなかったと後悔を口にすると、驚いたことに玄一は「もういっそ諦めちゃいますか。いっしょに」と理想を“前向きに”諦めてみることを提案する。
玄一は玄一で、索(手越祐也)との理想の家探しが難航していた。「俺たちの恋愛にも意味があるって証明してくれるような、“かすがい”になってくれるような家。恋と革命の家」を探し求めるものの、条件を達成した物件は2人の予算をはるかにオーバー。
“かすがい”となる家を諦めきれず、優先順位を決めかねている玄一と索に、不動産屋の岡部(田中直樹)は「何かを諦めることって、そんな悪いことばっかりじゃないかもです」とアドバイスを送る。だからこそ、玄一はあくまでポジティブに諦めたうえで、次の一手を模索するためのリスタートを切ればいいと考えて、ともえに言葉をかけたのだろう。
2人が前向きな諦めを経て再出発しようとするなか、2人の周りにいる人々が思う“自分なりの幸せ”にも少しずつ変化が訪れていた。

























