長澤まさみが語る俳優としての美学 「自分に対してすごく期待している自分がいる」

「ちょっとした神秘性を持ち続けることができたら」
ーー以前『ドールハウス』で取材させていただいた際、「“お客さんが楽しんでくれることをやりたい”という思いはデビュー当時から変わらない」と話されていました。“求められること”と長澤さん自身が“やりたいこと”が相反することもあるかと思うのですが、そういうときはどう対処するんでしょうか?
長澤まさみ、デビューから変わらない活動の軸 「おもしろいものを作れたらそれでいい」
矢口史靖監督の新作映画『ドールハウス』で主演を務めた長澤まさみ。これまでの彼女のキャリアの中で異色とも言える“ドールミステリー”…長澤:もちろんそういう時期もありましたが、だいぶ昔に通り過ぎました(笑)。思春期の頃は「そうじゃないのにな」と思うこともありましたが、今はそれで悩むこと自体ありません。俳優という仕事は不思議なもので、撮影してから世に出るまで1年とか2年かかるものもあって。
ーー『おーい、応為』も2年前に撮っているんですよね。
長澤:なので、当時の私は2年先を生きていたのかもしれないなって。それが俳優という仕事のおもしろいところで、みんなよりちょっと先を生きて、未来の自分を作ることができるんですよね。作品が世に出たときに、新たな驚きとして楽しんでもらえるのであれば、それはそれで嬉しいことです。タイミング的にそうじゃない場合でも、いつか届くときが来るかもしれないと思ったら、すごく夢があることだと思うんです。それは過去に出演してきたすべての作品に言えることでもあります。それを踏まえて、みなさんのイメージにない自分の姿を見せることができたらいいなと常に思っています。
ーー常にサプライズを届けたいと。
長澤:そういう感覚は強いです。この映画がどんな映画なのか、正しく説明しなくても、それ自体が人のためになるとは限らないと思うので、いい“嘘”をつきながらといいますか、ちょっとした神秘性を持ち続けることができたらいいなと。
ーー長澤さんは20年以上に渡って日本の映画界・ドラマ界の第一線でご活躍されていますが、最近は下の世代の方との共演も多くなっていますよね。後輩からアドバイスを求められることも多々ありそうです。
長澤:聞かれたら自分なりに答えはするんですけど、そういうときに限ってみんなピンときてなかったりするんですよね。「これじゃなかったんだ」みたいな(笑)。
ーーそうなんですね(笑)。最後に、業界を引っ張っていく存在として意識していることがあればぜひ教えてください。
長澤:引っ張っていくなんて全然考えてないです(笑)。私は“調和をとりたい”という思いが強いタイプなので、みんなと調和していきたいんですよね。そうすると、自分が安心して物事に取り組めるので。引っ張っていくというより、そちらのほうが自分の性質的に合っていると思うので、今後もみんなと寄り添い合いながらやっていければいいのかなと思います。
■公開情報
『おーい、応為』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
出演:長澤まさみ、髙橋海人、大谷亮平、篠井英介、奥野瑛太、寺島しのぶ、永瀬正敏
脚本・監督:大森立嗣
原作:飯島虚心『葛飾北斎伝』(岩波文庫刊)、杉浦日向子『百日紅』(筑摩書房刊)より「木瓜」「野分」
配給:東京テアトル、ヨアケ
©︎2025「おーい、応為」製作委員会
公式サイト:https://oioui.com
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