『ヤンヤン 夏の想い出 4Kレストア版』キービジュアル公開 エドワード・ヤン監督の秘蔵写真も

『ヤンヤン 夏の想い出』4K版キービジュアル

 12月9日に公開されるエドワード・ヤン監督作『ヤンヤン 夏の想い出』4Kレストア版のキービジュアルが公開された。

 本作は、少年とその家族が経験するひと夏の出来事を、時に残酷で時にまばゆいほどの映像で描いた映画史に残る青春映画。台湾と日本合作で製作され、台北と東京、熱海を舞台とし、イッセー尾形ら日本の俳優陣も参加している。

 2000年に第53回カンヌ国際映画祭にて監督賞を受賞した本作は、東京国際映画祭、トロント国際映画祭など世界の映画祭にて上映。4Kレストア化されると、2025年の第78回カンヌ国際映画祭クラシック部門のオープニング作品としてお披露目され、惜しみない賛辞を受けた。

 学生のヤンヤンは、コンピュータ会社を経営する父、そして母、姉、祖母と共に台北の高級マンションで幸せを絵に描いたような暮らしをしていた。だが母の弟の結婚式を境に、一家の歯車は狂いはじめる。祖母は脳卒中で入院。父は初恋の人にバッタリ再会して心揺らぎ、母は新興宗教に走る。そして父は、行き詰まった会社の経営を立て直すべく、天才的ゲーム・デザイナー大田と契約するため日本へと旅立つのだが……。

 公開されたキービジュアルは、星野源やTeleなどのMV、Homecomingsやano、LAUSBUBなどのアートワークを手がける岡本太玖斗がデザインを担当。ヤンヤンたち家族の“ハレの日”を象徴する披露宴の準備風景が切り取られている。ヤンヤンの不意の表情はチャーミングで、大人たちのイベントに参加するため一張羅に身を包んだ立ち姿はどこか凛々しさを感じさせる。

 あわせてエドワード・ヤン監督の息子で脚本家志望のショーン・ヤンより、亡き父や本作へ向けた想いを綴ったメッセージが到着。本作が日本で初公開された2000年に生まれ、現在 は脚本家を目指して映画学校への進学を心待ちにしているショーンは、「『ヤンヤン 夏の想い出』は父のフィルモグラフィの中で個人的に最も好きな作品です」と本作への思い入れを熱く語った。

 さらに、エドワード・ヤンが幼少期のショーンを抱きかかえる貴重な2ショット写真のほか、少年ショーンがビデオカメラを回し、そのビデオモニターには息子を別のカメラで活写する父エドワード・ヤン、ショーンの後方には母で本作の美術と音楽を手掛けるペン・カイリーが映り込むというヤン一家を捉えたミラクルショットなど、親子の交流を捉えた秘蔵写真も初公開された。

ショーン・ヤン コメント

皆さん、こんにちは! エドワード・ヤンの息子、ショーン・ヤンと申します。私はロサンゼルスで育ち、脚本家志望で、来秋から映画学校に進学する予定です。
これまで何度か『ヤンヤン 夏の想い出』について紹介する機会はありましたが、今回は実際現地に伺えないにしても自分が愛おしいと感じているこの美しい作品について、私の思いや感想を共有できることは、いつも大変光栄に思います。
まだご覧になっていない方のためにこの映画について少しだけ説明すると、本作は2000年に公開されましたが、偶然にも私が生まれた年でもあります。そのため、この作品は両親の人生における大きな転換期を象徴するものとなりました。ミレニアムの到来とともに、父のキャリアにおける大きな飛躍と子供の誕生があった一方で、日常の営みや台湾での暮らし、そして残念ながら父の健康が失われていったのです。
私にとって『ヤンヤン 夏の想い出』は父のフィルモグラフィの中で個人的に最も好きな作品です。それについて言えば、父はその素晴らしい芸術的才能を作品に注ぎ込んできましたが、彼の映画は時折、説教くささを感じることがありました。
生前の父を深く知る機会には恵まれませんでしたが、今私は父が残した映画を通して彼を知るという、特別な立場にあります。そうした中で『ヤンヤン 夏の想い出』こそが最も深く父を理解できた作品だったと思います。
『ヤンヤン 夏の想い出』の核は、日々のありふれた日常の中に宿る本質的な美しさを見出すことにあると思います。
この感覚は、慌ただしい現代社会においてこそ、非常に貴重なものだと感じます。父が最後に発表した長編映画として、この作品は父の、映画作家としての成長と人間としての成長の両方の集大成を表していると強く思います。
私にとって、『ヤンヤン 夏の想い出』は、かつて怒りと自我に満ちていたエドワード・ヤンが、真の優しさと謙虚さを備えた人間へと成長していく過程を象徴しています。
皆さんにも、私が感じたのと同じように、彼の人となりを映画を通して知っていただければ幸いです。そして何よりも、どうか映画そのものを心から楽しんでいただきたいと思います。

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■公開情報
『ヤンヤン 夏の想い出』
12月9日(金)より、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座、109シネマズプレミアム新宿ほか全国公開
出演:ウー・ニエンジェン、エレン・ジン、イッセー尾形、ジョナサン・チャン、ケリー・リー
監督・脚本:エドワード・ヤン
プロデューサー:河井真也、附田斉子
アソシエイト・プロデューサー:ユー・ウェイエン、久保田修
撮影:ヤン・ウェイハン
照明:リー・ロンユー
編集:チェン・ポーウェン
録音:ドゥ・ドゥーツ
美術・音楽:ペン・カイリー
2000年/台湾・日本合作映画/173分
配給:ポニーキャニオン
©1+2 Seisaku Iinkai
公式サイト:https://yi-yi.jp

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