蒔田彩珠主演映画『消滅世界』予告編公開 Wabokuデザインのアニメキャラ・ラピスの姿も

蒔田彩珠主演映画『消滅世界』予告編

 11月28日に公開される蒔田彩珠主演映画『消滅世界』の予告編とメインビジュアルが公開された。

 本作は、芥川賞作家・村田沙耶香の長編小説を映画化する人間ドラマ。本作が長編映画監督デビュー作となる映像ディレクター・川村誠が脚本・監督を務めた。

 主人公・雨音を蒔田、雨音の夫・朔を栁俊太郎が演じるほか、恒松祐里、結木滉星、富田健太郎、清水尚弥、霧島れいか、松浦りょう、山中崇、眞島秀和、岩田奏らが共演に名を連ねる。

映画『消滅世界』予告映像

 予告編では、「正常」を試すような世界設定と物語、性が消えつつある日本の衝撃的未来が鮮烈なビジュアルで提示され、D.A.N.による本作のために書き下ろされた主題歌「PerfectBlue」も聴くことができる。

 舞台は、人工授精で子どもを産むことが定着した近未来の日本。夫婦間の性行為はタブーとされ、恋や性愛の対象は“家庭の外”の恋人か、二次元キャラが常識になっていた。それは“両親が愛し合った末”に生まれた子は異常とされる世界。主人公の雨音(蒔田彩珠)は、「お前、人工授精じゃないの? 気持ち悪い」と学校で虐められ、「お母さんは、なんで普通じゃない方法で私を妊娠したの?」と母親の雫(霧島れいか)に嫌悪を抱き、「私はお母さんとは違う。みんなと同じなんだ」と自分に言い聞かせていた。雨音の性愛の対象は二次元キャラのラピス。自分がラピスに恋をしていると実感する時、自分は母とは違うのだ、周囲と同じく正常だとわかって喜びを感じる雨音。「初めて恋をすることを教えてくれた」ラピスを同じく愛する同級生の水内(結木滉星)と特異な性関係を持つようになる雨音は、水内との身体のつながりに心が満たされていく。

 大人に成長した雨音は、性愛を持ち込まない清潔な結婚生活を望み、夫以外の男性やキャラクターと恋愛を重ねていた。“普通”であるはずの夫と結婚したものの、その夫は「身体が反応してしまって...」と“妻”である雨音に性行為を求める。それは、この世界では“近親相姦”と非難される行為。夫が許せなかった雨音は離婚を選択する。間もなく、元夫とは正反対の朔(栁俊太郎)と出会う。元夫から非常識な行為を受けた雨音に心からの同情を寄せる朔。その朔も、雨音との結婚を意識しながらも他の恋人がいる。そんな今の世界の常識を「あぁ嫌だ。汚らわしい。ちゃんと愛し合って子供を作りなさい」と叱責する雫だが、雨音は朔と結婚。性愛とは無縁の穏やかな結婚生活を楽しんでいた。

 その頃、住民全体で計画的に人工授精、出産、管理を行い、住民みんなで子育てをする実験都市「エデン」が千葉に作られていた。そこは恋愛も性も完全に無い世界。雨音と朔にとってまさに“理想の楽園”に居を移す2人。朔から「2人の遺伝子を受け継いだ健全な子を産むんです。もちろん人工授精で」と持ちかけられた雨音は「朔くんとの子なら作りたい」と同意。だが、その人工授精による妊娠が、2人の関係を狂わせていく。「私ね、怖いの。どこまでも“正常”が追いかけてくる」と困惑を見せはじめる雨音。果たして“エデン”は、本当にユートピアなのか。それとも、ディストピアなのか。

 あわせて公開された本ビジュアルは、雨音と朔が結婚生活を送るエデンで、住民全員が着衣している白い装束をまとった2人が、背景に広がる無機的な空間の中で無表情に佇む姿が捉えられている。

 本予告にも登場する、雨音が恋をするアニメキャラクターの少年“ラピス”のキャラクターデザインを手がけたのは、ずっと真夜中でいいのに。や、Eve、ポーター・ロビンソンなど数々のMVで知られるアニメーション作家のWaboku。Wabokuは自身の作品について「共通するキーワードは“退廃”と“寂しさ”」と語り、川村監督は「その退廃的な世界観が本作に非常に合う気がした」とコメントしている。

 今年作家活動10周年を迎え、記念個展『10-COUNT』が12月9日から開催されるWabokuは、ラピスについて「デザインに取りかかる前に、宙を見つめて小一時間思案していた」と話す。「普通のアニメキャラにはない奥行きが少しでも生まれ、誰かの心に届く事を願っています」とコメントを寄せた。川村監督も「作品のコンセプト、物語に強く共感いただいて作画いただけたことが何よりの喜び」と語り、「次第に漂白されていく人間の世界とは裏腹に、色彩が失われた世界で色を取り戻していくラピスの造形は、主人公の葛藤と希望を象徴するものとなりました」と雨音が愛するラピスに息を吹き込んだWabokuへ賛辞を贈った。

Wabokuが手がけたアニメキャラクターの少年・ラピス

コメント

Waboku(アニメーション作家)

この世界のアニメキャラが持つ存在感は、言うまでもなく現実のアニメよりも大きいです。
空想の産物である彼らと、フィクション越しでしか関わる事ができない私たち。
その壁が取っ払われたとき、果たしてどんな関係性に変わるのか、お互いがどう見え始めるのか。
デザインに取り掛かる前に、宙を見つめて小一時間思案していた記憶があります。
『キャラひとり生み出すなら、本来それくらい考えなきゃダメ。』と諭されている気がして猛省もしました。
そんな気持ちで描き上げたラピス。
普通のアニメキャラにはない奥行きが少しでも生まれ、誰かの心に届く事を願っています。

川村誠(監督)

Waboku さんの退廃的で独特な作風・世界観に
「消滅世界」との親和性を感じ
主人公が愛するキャラクター・ラピスのデザインを
お願いしましたが、作品のコンセプト、
物語に強く共感いただいて
作画いただけたことが何よりの喜びです。
次第に漂白されていく人間の世界とは裏腹に
色彩が失われた世界で色を取り戻していくラピスの造形は、
主人公の葛藤と希望を象徴するものとなりました。
Wabokuさんによる劇中アニメイメージと
もう一人の主人公ラピスが
作品を牽引してくれているので
是非劇場の大スクリーンでご覧いただきたいです。

■公開情報
『消滅世界』
11月28日(金)新宿シネマカリテほか全国公開
出演:蒔田彩珠、栁俊太郎、恒松祐里、結木滉星、富田健太郎、清水尚弥、松浦りょう、岩田奏、山中崇、眞島秀和、霧島れいか
原作:『消滅世界』(村田沙耶香著/河出文庫)
監督・脚本:川村誠
配給:NAKACHIKA PICTURES
©2025「消滅世界」製作委員会
公式サイト:https://shoumetsu-sekai.com/

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