『ESCAPE』桜田ひより×佐野勇斗の“ケンカップル”バディが新鮮　考察要素も多数登場

「私のこの選択が様々な人間の運命を変えてしまうことを、私はまだ知らなかった」

　桜田ひよりと佐野勇斗がW主演を務める『ESCAPE それは誘拐のはずだった』（日本テレビ系）が10月8日にスタートした。

　日本有数の大企業・八神製薬の社長令嬢である結以（桜田ひより）が、20歳の誕生日パーティーの最中に誘拐される。犯人グループは結以の父・慶志（北村一輝）に身代金を要求するが、金を受け取る前に主犯格の斎藤（飯田基祐）が持病の心臓発作で死亡。当初の計画は破綻し、犯人の一人・大介（佐野勇斗）は結以を乗せた車をあてどなく走らせるのだった。

　醍醐味の誘拐を題材とした作品は古今東西、無数に存在するが、大きく分けて2パターンある。「誘拐被害者家族や警察官の目線で描いた人質の救出劇」と、「心を通わせた人質と犯人の逃亡劇」だ。本作は後者のパターン。最初こそ抵抗していた結以だが、なぜか大介に協力的な姿勢を見せるようになっていく。

　スリリングでノンストップな展開の中で一時的に心が緩む緩衝材としての機能を果たしているのが、結以と大介の“ケンカップル”のような掛け合いだ。結以は気品溢れる生粋のお嬢様だが、決して守られているだけの存在ではない。大介に連れ去られそうになった結以が反撃に出る冒頭のシーンでは、『相続探偵』（日本テレビ系）で初のアクションに挑戦した桜田が合気道の投げ技を披露。また頭も切れる人物で、詰めの甘い大介に警察を欺く方法を助言する。まさに文武両道であり、どちらかといえば結以のほうが大介をリードしているかたちだ。

　一方、2025年夏クールの『ひとりでしにたい』（NHK総合）で黒髪の堅物な東大卒のエリートを妙演した佐野は、金髪の粗暴な前科持ちの青年に仰天チェンジ。大介は結以にナイフの刃先を向け、自分に協力する目的を問い質す暴力的な面がある一方で、結以に手荒な真似をしようとしたもう一人の犯人・山口（結木滉星）を制止する優しさも持ち合わせている。荒々しさと繊細さを絶妙なバランスで演じていた。そんな性格も育ちも正反対の2人が互いをハチ（八神の“八”から）、リンダ（林田の音読み）と呼び、カップルを装うために手を繋いだ状態で小競り合いするシーンはラブコメディのような趣がある。2人が恋愛に発展していくのかも見どころとなってくるだろう。

　だが、最大の謎は誘拐の目的だ。初回で退場となった斎藤は、目的は身代金ではなく、慶志を苦しめるためだと結以に語っていた。犯行声明には、「お前にも娘を失う気持ちを味わわせてやる」という意味深な言葉も。慶志は斎藤と大学で一緒に研究をしていた仲で、何か知られてはまずいことがあるのか、当初警察の捜査を止めていた。振る舞いは一見紳士的だが、犯人を取り逃がした結以の目付け役・万代（ファーストサマーウイカ）は彼の前でひどく怯えているように見える。週刊誌記者・白木（山口馬木也）も誘拐発生前から八神製薬に目をつけるなど、慶志に何か裏があるのは明白だ。

　加えて、気になるのは慶志の結以に対する異常な束縛。結以は慶志に監視目的でつけられている足のGPSを外し、大介と逃避行に出る。パーティーでは、結以に近づく叔母夫婦を神経質なほどに牽制していた慶志。結以にとって大介は、そんな父親によって閉じ込められた檻の中から連れ出してくれる救世主のような存在に思えたのかもしれない。大介の手に触れるたび、脳内に広がる細胞分裂のようなイメージは何を意味しているのか。

　他にも、視聴者数に伸び悩んでいる従姉弟インフルエンサーの真咲（加藤千尋）と岬（髙塚大夢）、街で夜回り活動をする少年捜査課の刑事・小宮山（松尾諭）、警察車両のサイレンに不敵な笑みを浮かべる謎の女（志田未来）、ガラの悪い男と夜中にデートする晶（原沙知絵）とその息子と思わしき星（阿部来叶）など、複数の人生が結以と大介の逃亡劇に絡み合っていくと見られる本作。今期一、SNSで考察が盛り上がる作品となりそうだ。

■放送情報
『ESCAPE それは誘拐のはずだった』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00～23:00放送
出演：桜田ひより、佐野勇斗、北村一輝、志田未来、富田靖子、山口馬木也、松尾諭、結木滉星、ファーストサマーウイカ
脚本：ひかわかよ
演出：小室直子、長沼誠ほか
チーフプロデューサー：荻野哲弘
プロデューサー：秋元孝之、明石広人
制作協力：オフィスクレッシェンド
©日本テレビ
公式サイト：https://www.ntv.co.jp/escape/
公式X（旧Twitter）：https://x.com/escape_ntv