『チェンソーマン』『呪術廻戦』『いぬやしき』 “東京を破壊し続ける”MAPPAアニメの美学

作中で被害を受けているのは、東京だけではない。そもそもMAPPAは壮大なスケールの崩壊描写を得意とするアニメスタジオであり、他にもさまざまな場所が破壊されている。
たとえば4月から放送されていたオリジナルアニメ『LAZARUS ラザロ』は、主に英語圏の国が舞台となっていた作品。第6話では山奥のコミューンで生活するカルト教団「真実の塔」をめぐる事件が描かれ、最終的には教団のシンボルである近未来チックな巨塔が紅蓮の炎に包まれて崩れ去った。
また第8話では、北極海に廃棄された巨大な油田が丸ごと爆発、倒壊していくシーンが登場。氷と炎が交錯するその映像は、まさに圧巻というべき迫力だった。
さらにMAPPAといえば、『進撃の巨人 The Final Season』の終盤で描かれたカタストロフィも忘れられない。超大型巨人による“地鳴らし”では、世界の大半が踏み潰され、壮絶な終末感が描かれた。
押し寄せる巨人の大群が世界中の街とそこに住む人々を蹂躙していく光景はまさに地獄絵図。“破壊される側”の無力感を観客に体感させる演出となっており、世界そのものが悲鳴を上げるような音響も心に残った。
もちろん作品によって携わっている監督やアニメーターは異なるため、街が崩壊するシーンに一貫したコンセプトがあるわけではないだろう。ただ、MAPPAは自社に背景美術チームを抱えており、優秀なアニメーターも多く所属している。だからこそ、途方もないリソースがかかる破壊シーンを描くことに躊躇がないのかもしれない。
しかもほとんどの崩壊描写はたんなるスペクタクルにとどまらず、「文明の崩壊」や「キャラクターの感情の爆発」などの哲学的なテーマを感じさせるほどのクオリティを保っている。『チェンソーマン レゼ篇』における東京の崩壊も、そうした“MAPPAらしさ”の延長線上にあると言えるだろう。
どこまでも壮大で美しく、そして哀しい世界の崩壊シーン。MAPPAの美学を味わうためにも、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』を観るために映画館まで足を運んでみてはいかがだろうか。
■公開情報
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』
全国公開中
キャスト:戸谷菊之介(デンジ)、井澤詩織(ポチタ)、楠木ともり(マキマ)、坂田将吾(マキマ)、ファイルーズあい(パワー)、高橋花林(東山コベニ)、花江夏樹(ビーム)、内田夕夜(暴力の魔人)、内田真礼(天使の悪魔)、高橋英則(副隊長)、赤羽根健治(野茂)、乃村健次(謎の男)、喜多村英梨(台風の悪魔)、上田麗奈(レゼ)
原作:藤本タツキ『チェンソーマン』(集英社『少年ジャンプ+』連載)
監督:𠮷原達矢
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:杉山和隆
副監督:中園真登
サブキャラクターデザイン:山﨑爽太、駿
メインアニメーター:庄一
アクションディレクター:重次創太
悪魔デザイン:松浦力、押山清高
衣装デザイン:山本彩
美術監督:竹田悠介
色彩設計:中野尚美
カラースクリプト:りく
3DCG ディレクター:渡辺大貴、玉井真広
撮影監督:伊藤哲平
編集:吉武将人
音楽:牛尾憲輔
配給:東宝
制作:MAPPA
主題歌:米津玄師「IRIS OUT」(Sony Music Labels Inc.)
エンディングテーマ:米津玄師、宇多田ヒカル「JANE DOE」(Sony Music Labels Inc.)
©2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト ©藤本タツキ/集英社
公式サイト:https://chainsawman.dog/
公式X(旧Twitter):@CHAINSAWMAN_PR





















