『ガルクラ』総集編、新曲&新カットが激アツ 新作に期待高まる“トゲトゲ”誕生の物語

『ガルクラ』総集編、新曲&新カットが激アツ

 仁菜は対立していた父親と真正面から向き合い、桃香は引きずっていた過去に決着をつける。そんなドラマが繰り広げられた先で、改めてトゲトゲがステージに立って少しずつ世に出ていく。そうした展開が、バンドによって奏でられる音楽の面白さであり、そしてバンドとして活動していくことの大変さを見せつける。そして迎えるフィナーレが、TVシリーズから逸脱はしないものになるとしたら、観客はそう来たかと感じつつ、この先どうなってしまうのだろうと惑うだろう。

 そうしたモヤモヤの答えが、9月23日に日本武道館で開かれたリアルバンドとしてのトゲナシトゲアリによるライブで発表された、完全新作映画の中で示されることになるのかはまだ分からない。TVシリーズの続きをそのまま描くものとは限らないからだが、ティザービジュアルがギターを持って立っている仁菜の姿になっていることや、武道館のライブで仁菜の声を演じる理名がキーボードによる弾き語りを見せたことから、バンドの中での仁菜の役割が広がっていく可能性を想定できる。

 こうした理名のパート拡大や、全国のライブハウスを回るツアーも発表されたリアルバンドの活動に連動し、アニメのトゲトゲも改めてバンドとしての結束を確認し、前に進んでいく姿が完全新作映画で描かれる。その先触れとして、劇場総集編で頭から5人の存在がしっかりと描かれ、バンドになるまでを見せてくれたのだと思いたい。それは、理名や桃香役の夕莉、ルパ役の朱李にすばる役の美怜、智役の凪都の結束も変わらず続くということだから。

劇場音響で聴く『ガルクラ』楽曲

TVアニメ『ガールズバンドクライ』第1話挿入歌「空の箱」

 劇場の大音響で聴く新川崎(仮)としての楽曲「声なき魚」や「視界の隅 朽ちる音」は最高だった。仁菜の叫びと桃香のギターは当然として、手数の多いすばるのドラムはハイクオリティの音響の中でより粒立ちよく響き渡った。上諏訪での「名もなき何もかも」ですばるのドラムとルパのベースが固めるリズムの上に、智が鳴らすキーボードの旋律が乗ってこそ湧き出てくるトゲトゲの音楽の色が見えた。

 オープニングの「もう何もいらない未来」やエンディングの「命をくれよ」といった新曲が前編で加わり、後編でも劇中曲に加え同じような新曲が加わる。その先に待っている完全新作映画で結集してくれるだろうトゲトゲの真新しい楽曲を聴くための、そしてそれがリアルな場でも聴けるようになるための道が、『劇場総集編 ガールズバンドクライ 青春狂走曲』によって今、拓かれたのだと思いたいし願いたい。

■公開情報
『劇場版総集編 ガールズバンドクライ【前編】青春狂走曲』
全国公開中
『劇場版総集編 ガールズバンドクライ【後編】なぁ、未来。』
11月14日(金)全国公開
©東映アニメーション

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