福山雅治×柴咲コウはなぜ最高のバディに? 『沈黙のパレード』の注目ポイントを解説

9月12日に福山雅治主演映画『ブラック・ショーマン』が公開されたことを記念して、9月20日に『ガリレオ』シリーズの劇場版第3弾『沈黙のパレード』が、フジテレビ系『土曜プレミアム』で放送される。
本作は福山が天才物理学者・湯川学を演じた『ガリレオ』シリーズの劇場版第3弾。湯川の相棒となる刑事・内海薫役をテレビシリーズから引き続き柴咲コウが演じている。『ガリレオ』シリーズ劇場版の第2弾である『真夏の方程式』では、湯川の相棒が吉高由里子演じる新人女性刑事・岸谷美砂だったため、テレビシリーズと同じく湯川×内海コンビで事件を解決していくのは、約14年ぶりとなった。

ここでは、今でも人気の高い湯川×内海コンビの魅力に迫っていきたい。
「推理×バディもの」のドラマとなると相棒となる2人の性格は正反対のものになりやすい。たとえば『相棒』(テレビ朝日系)シリーズの右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)がその良い例だろう。冷静沈着で先を予見したように動いていく右京と、その場の感情に突き動かされ、頭よりも身体が先に動く亀山。2人はその正反対さゆえ、出会った頃はギクシャクすることもあったがさまざまなことを乗り越え、今では息ぴったりのまさしく“相棒”となっている。
その点から見ると湯川と内海は、互いに冷静な性格で、一緒に捜査をする時も淡々と進めていくことが多い。では、どうして私たちは2人の関係性に引き込まれてしまうのだろう。それは、2人が対立して相乗効果を生み出すのではなく、互いに影響を与え合うことで高めあっていることがわかるからではないだろうか。

『沈黙のパレード』は、湯川と内海が協力して事件を解決していく物語であると同時に、内海の先輩であり、湯川の大学時代の同期である草薙(北村一輝)が葛藤を乗り越えていく物語でもある。ある事件で殺害された男が、過去に草薙が担当した事件の容疑者であったのだ。草薙は、過去の事件の遺族が復讐したのではないかと考えつつ捜査を進めていくが、「自分が過去の事件をしっかりと解決していればこんなことにならなかったのではないか」という思いも抱えていた。
そんな草薙をそばで見ていた内海は「草薙さんは今回の事件が復讐であって欲しくないんです」と湯川に話す。こうして表にはっきりとは表れない人の感情に目を向けられるのが内海の特徴だ。それに対し、湯川は「もしそうなら草薙は自分が被害者の家族を殺人者にしてしまったことになる」と、はっきりとした事実を述べた。内海は「今度は草薙さんまで追い詰めることになってしまう」と返すが、この時に焦ったような様子を見せるのは、湯川が指摘したことを内海も理解しているからだろう。この端的な会話の中に、基本的には性格が似ている2人の“些細な違い”が垣間見える。湯川は、どんな時でも最終的には合理性や論理を重視しようとする一方、内海は、事実は理解した上で人の感情を重視しようとしている。

でも、この違いがあるからといって2人は激しくは対立しない。内海は湯川を見て、感情に流されそうになる自分を見つめ、湯川は内海を見て、感情を無視して真実だけを追い求めることの危険性を考える。むしろ互いの欠点を補うように寄り添っているようにさえ見えるのだ。このように、この2人しか作ることのできない“寄り添う相棒”という形が確かに存在している。
『ガリレオ』シリーズの劇場版作品には、「頭脳明晰な湯川の華麗な推理ショー」というよりも「湯川がより人間らしくなっていくヒューマンドラマ」としての側面がある。湯川の人としての魅力を存分に引き出すことができるのは、やはり“相棒歴”の長かった内海なのかもしれない。この放送を機にまた、湯川×内海コンビの魅力を堪能したい。
■放送情報
土曜プレミアム『沈黙のパレード』
フジテレビ系にて、9月20日(土)21:00~23:35放送
出演:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、酒向芳、岡山天音、川床明日香、出口夏希、村上淳、吉田羊、檀れい、椎名桔平
原作:東野圭吾『沈黙のパレード』(文春文庫刊)
脚本:福田靖
監督:西谷弘
音楽:菅野祐悟、福山雅治
主題歌:KOH+「ヒトツボシ」(アミューズ/ユニバーサルJ)
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