『明日はもっと、いい日になる』が描く親子の在り方 “蔵田”林遣都が自身の過去と向き合う

一方、総一郎はどこまでも自分本位だった。南野が総一郎に渡したノート。そこには、蔵田がどれほど総一郎からの暴力に苦しめられたか、その苦しみをいかに乗り越えてきたかが記録されていた。それを読めばとてもじゃないが、蔵田に顔向けすることなんて、ましてや一緒に暮らそうなんて言えないはずだ。けれど、総一郎は罪悪感に耐えかねて謝罪し、一人で年老いていく心細さから蔵田を頼った。自分の心の弱さから逃げ、蔵田に暴力を振るっていた頃から何も変わっていない。それに気づいた蔵田は総一郎に二度と会わないことを告げる。

児相に保護された直後は荒れていて、幾度となくトラブルを起こしていた蔵田。南野の家に引き取られてからも、総一郎から暴力を振るわれたトラウマに苦しめられた。そんな蔵田と向き合うのは並大抵の苦労ではなかったと思うが、南野の妻・瞳(櫻井淳子)は「かわいくてしょうがなかった」と語る。蔵田の抱える大きな心の傷を癒そうと、いっぱい笑い合って、いっぱい抱きしめた2人。そんな日々の積み重ねが、蔵田たちを親子にしたのだろう。
「ありがとね、親になってくれて。僕の父親はあなた一人です」
「違うな、迷惑なんて思ったことはない。お前が俺たちを親にしてくれた」
3人の間に流れる穏やかで優しい空気が、血よりも遥かに濃い家族の歴史を物語っていた。
一方で、蔵田の心の傷は完全に癒えたわけではない。今でも総一郎を目の前にすると手が震え、児相で向き合う子どもの虐待事案から過去のトラウマが掘り起こされることもある。自分も親になったら総一郎と同じこと子どもにしてしまうのではないかという恐怖から、向日葵(生田絵梨花)に一方的な別れを告げた過去も。

そんなどこまでも付き纏う血の呪いから蔵田を解放したのが、翼の言葉だった。人間は時に、人からされて嫌だったことを人にしてしまう。だったら逆に、人からされて嬉しかったことだって人にできるはずなのだ。南野たちにたくさん愛されて育った蔵田が、一人でも多くの子どもたちを救おうと必死になれるように。

「今の蔵田さんならきっと大丈夫です。私が保証します」という翼の言葉に背中を押され、再び向日葵と向き合う覚悟を決めた蔵田。ヒロインが恋愛要素に混ざらず、キューピットの役目を果たすケースはめずらしいのではないだろうか。だが、そんな矢先に虐待が疑われる事案が発生。対象の親子に接触しようとした向日葵が階段から突き飛ばされてしまう。最終話では、今まで以上にセンシティブな親子の問題が描かれそうだ。
児童相談所を舞台に、そこで働く個性的な面々たちがこどもたちの純粋な思いに胸を打たれ、その親までも救っていく姿描く完全オリジナルストーリーのヒューマンドラマ。
■放送情報
『明日はもっと、いい日になる』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:福原遥、林遣都、生田絵梨花、小林きな子、濱尾ノリタカ、莉子、西山潤、町田悠宇、勝村政信、風間俊介、柳葉敏郎ほか
脚本:谷碧仁(劇団時間制作)ほか
演出:相沢秀幸、下畠優太、保坂昭一
プロデュース:宮﨑暖
主題歌:JUJU「小さな歌」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロデュース:熊谷理恵、三浦和佳奈
制作協力:大映テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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