青木柚×さとうほなみが『天使の集まる島』に込めた思い 堀井綾香監督と語り合う

『天使の集まる島』キャスト&監督が語る

 8月29日から公開中の映画『天使の集まる島』より、主演を務めた青木柚、さとうほなみ、堀井綾香監督のインタビューコメントが公開された。

 本作は、南国マレーシア・ペナン島の世界遺産「ジョージタウン」を舞台に、孤独な青年の“空想の旅”を描く異国ファンタジー。闘病生活を送る青年・聡太郎は、いつものように病院の屋上で寝転がり、目を閉じる。ラジオから聞こえてくる不思議な音声に耳を傾け、ゆっくり目を開けると、そこはどこか知らない“異国の島”だった。その地で出会うのは、“天使”と呼ばれるミミと、彼女を愛するダニエルの二人。彼らと行動を共にする中で、聡太郎は自分自身と向き合うことになっていく。

 主人公・聡太郎を青木、ミミをさとうが演じるほか、ジャド・ヒダー、福地桃子がキャストに名を連ねている。

 堀井監督は、制作のきっかけについて次のように振り返る。

「『The Night Before』の一編として『飛べない天使』を上映したのが2023年12月のことなのですが、そのときに想像以上の反響があったんです。聡太郎たちのことをもっと知りたいという言葉をたくさんいただきました。私自身も聡太郎のバックボーンが気になるし、観てみたい。それからアナザーストーリーを夢想するようになりましたね」

 舞台をペナン島に選んだ理由については、「プロデューサーの木村(真奈美)さんから海外ロケのアイデアが出てきて。その候補のひとつであるマレーシアのペナン島に惹かれました。いろんな文化が混ざり合っている土地で、物語のインスピレーションも湧いてきました。ずっと病院で暮らしている聡太郎が思い描く理想の世界が、ここにはあるなって」と語る。

 さとうは撮影地ジョージタウンの印象を「まるで空想の世界のようなんですよね。おもちゃ箱をひっくり返したような」と表現。青木も「カラフルですよね。クランクイン前に調べるだけでもワクワクしていて、実際に現地入りしてこそ得られるものがあるだろうと思っていました。あの土地だからこそ、天使の見習いとして自然と存在することができましたね」と振り返った。

 企画の話を受けたときの心境について、青木は「本作の構想については堀井さんからお聞きしていました。天使たちの物語を描きたいと考えているのだと。それにしても実現させるまでのスピードの早さに驚きますよね(笑)。海外での撮影はそんなに経験がありませんでしたし、またこのチームで映画づくりができることが純粋に嬉しかったです」と語り、さとうも「私が演じたミミは、聡太郎という自由な男の子が誕生するきっかけをつくったキャラクターです。だから責任重大だと思いました。『飛べない天使』は素敵な作品ですし、すでに登場人物たちが愛されていますからね」と続けた。

 映画が観客にどう届いてほしいかという問いには、青木が「『飛べない天使』をご覧になられた方から、お手紙をいただきました。(中略)聡太郎はもともといろんなことをあきらめていた人物ですが、ミミとの出会いによって変わっていきます。それが『飛べない天使』の聡太郎の姿。そんな彼の姿に希望を感じてくださる人がいる。これは映画が届いたのだというたしかな事実で、僕にとってはこれがすべて」とコメント。

 さとうは「これは愛のある映画だと私は思っています。それも、33分とは思えないほど、とてつもなく愛がぎゅっと詰まっている。“異国ファンタジー”なので現実離れした要素は多分にありますが、やがて『飛べない天使』へと続くように、現代のこの日常を生きている人々にもきっと届くはず」と述べた。

 最後に、堀井監督は次のように語り締めくくった。

「『飛べない天使』というひとつの映画があって、それと同じ世界観を持った、異なる映画を撮ることができました。それも海外で。完成して公開に向かっているこの段階でも、いまだに不安があったりします。でも、こうしていろんな方々の協力を得て、たしかに前進している。私は何かをあきらめるということをしたくありません。何かに挑戦することを躊躇していたり、最初の一歩をうまく踏み出せないでいる方にこそ、この映画が届いたら嬉しいですね。その背を少しでも押すことができたらなって」

青木柚(辻聡太郎役)×さとうほなみ(ミミ役)×堀井綾香(監督)コメント

(左から)さとうほなみ、青木柚、堀井綾香監督

本作の制作の経緯

堀井:『The Night Before』の一編として『飛べない天使』を上映したのが2023年12月のことなのですが、そのときに想像以上の反響があったんです。聡太郎たちのことをもっと知りたいという言葉をたくさんいただきました。私自身も聡太郎のバックボーンが気になるし、観てみたい。それからアナザーストーリーを夢想するようになりましたね。そしてもしも取り組めるのであれば、プロジェクトとして面白いものにしたい。そう考えていたときに、プロデューサーの木村さんから海外ロケのアイデアが出てきて。その候補のひとつであるマレーシアのペナン島に惹かれました。いろんな文化が混ざり合っている土地で、物語のインスピレーションも湧いてきました。ずっと病院で暮らしている聡太郎が思い描く理想の世界が、ここにはあるなって。

さとう:舞台になっているジョージタウンって、まるで空想の世界のようなんですよね。おもちゃ箱をひっくり返したような。

青木:カラフルですよね。クランクイン前に調べるだけでもワクワクしていて、実際に現地入りしてこそ得られるものがあるだろうと思っていました。あの土地だからこそ、天使の見習いとして自然と存在することができましたね。

オファーがきたときの心境

青木:本作の構想については堀井さんからお聞きしていました。天使たちの物語を描きたいと考えているのだと。それにしても実現させるまでのスピードの早さに驚きますよね(笑)。海外での撮影はそんなに経験がありませんでしたし、またこのチームで映画づくりができることが純粋に嬉しかったです。

さとう:私が演じたミミは、聡太郎という自由な男の子が誕生するきっかけをつくったキャラクターです。だから責任重大だと思いました。『飛べない天使』は素敵な作品ですし、すでに登場人物たちが愛されていますからね。堀井さんはとても純度の高い人。それは脚本にも出ていると感じましたし、映像にも表れていると思います。

この作品がどのように届き、広がっていくことを願っている?

青木:『飛べない天使』をご覧になられた方から、お手紙をいただきました。その方は聡太郎と近しい環境で過ごされていて。これまでの僕の出演作をいろいろと観てくださっているそうなのですが、一番好きなのが聡太郎で、もっとも共感できるのが聡太郎なんだそうです。聡太郎はもともといろんなことをあきらめていた人物ですが、ミミとの出会いによって変わっていきます。それが『飛べない天使』の聡太郎の姿。そんな彼の姿に希望を感じてくださる人がいる。これは映画が届いたのだというたしかな事実で、僕にとってはこれがすべて。こうして映画に携わるというのは、意義のあることなのだと再認識しました。『天使の集まる島』も届くといいな。

さとう:これは愛のある映画だと私は思っています。それも、33分とは思えないほど、とてつもなく愛がぎゅっと詰まっている。“異国ファンタジー”なので現実離れした要素は多分にありますが、やがて『飛べない天使』へと続くように、現代のこの日常を生きている人々にもきっと届くはず。個人の抱えているものの質は違ったとしても、共鳴し合うところはたくさんあると思います。そうなることを願っています。

堀井:『飛べない天使』というひとつの映画があって、それと同じ世界観を持った、異なる映画を撮ることができました。それも海外で。完成して公開に向かっているこの段階でも、いまだに不安があったりします。でも、こうしていろんな方々の協力を得て、たしかに前進している。私は何かをあきらめるということをしたくありません。それはやがて変わっていく聡太郎の姿に表れています。何かに挑戦することを躊躇していたり、最初の一歩をうまく踏み出せないでいる方にこそ、この映画が届いたら嬉しいですね。その背を少しでも押すことができたらなって。

■公開情報
『天使の集まる島』
テアトル新宿ほかにて公開中
出演:青木柚、さとうほなみ、ジャド・ヒダー、福地桃子
監督・編集・プロデュース:堀井綾香
脚本:川原杏奈
プロデューサー:木村真奈美
©2025「天使の集まる島」製作委員会
製作・配給:Nuiavan、AB10 Company
2025年/日本・マレーシア/33分/言語:日本語、英語/字幕:英語、日本語/カラー
公式サイト:https://www.nuiavan.com/theangelisland
公式Instagram:@an_gel_film
公式X(旧Twitter):@an_gel_film

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