『DOPE』中村倫也が放つ狂気を超えた異質な気配 “ジウ”井浦新の不吉な予言の真意は

長らく謎に包まれてきた香織(入山法子)殺害事件の真相がついに明かされた。静かに張り詰めてきた糸が、一気に切れるような切実な回だった。そこに至るまでに積み重なった疑念と伏線が、一つひとつ裏返されていく展開は一切の容赦がなく、感情が激しく揺さぶられた。『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)第7話は陣内(中村倫也)が暴走の果てにたどり着いた答えと、その狂気の淵で揺れる人間の心を、ためらいなく、時に痛々しいほど赤裸々に映し出すものとなった。
香織殺害の真犯人が戸倉(小池徹平)だと判明した前回。才木(髙橋海人)は、陣内が戸倉を殺害する未来を予知し、葛城(三浦誠己)に協力を仰ぎ陣内の行方を追う。しかし、急ぎ乗り込んだタクシーの運転手は、よりにもよってジウ(井浦新)だった。母親との接触を知り一瞬敵意を向ける才木だが、ジウからこの先のトンネルに陣内と戸倉がいると告げられ、迷わず現場へ向かう。

暗いトンネルの奥、才木の目に飛び込んできたのは、拳銃を戸倉に向ける陣内の姿だった。必死に制止を試みる才木の前で、戸倉はこれまで封じてきた真実を語り出す。娘の命を救うために本郷(佐野和真)や臓器売買に関わる久保と手を組んだこと。刑事と記者として相容れない関係の中で、いつしか香織に惹かれていったこと。そして、香織の心が陣内に向いていると知った瞬間に押し寄せた嫉妬と焦燥。香織が「五億円盗難事件」の告発を決意したことで、DOPEを摂取し、衝動的に命を奪ってしまったこと。その告白は、動機の醜さと同時に人間臭い弱さをにじませるものだった。

全てを知った陣内は、戸倉の手錠を外し、香織と同じように戸倉の家族を“手配”したことを告げる。家族への危害を示唆された戸倉は必死に反撃するが、陣内は振り払い、引き金を引こうとする。その瞬間、才木は間に入り、「どうしても殺すなら、俺を撃ってからにしてください」と覚悟を示す。過去、香織が陣内に託した「復讐はしないでほしい」という生前の願いが、静かに2人を隔てていた。

才木が見た未来は、戸倉を殺した陣内が自ら命を絶つという結末だった。家族を守ることができず、異能力を持ちながら救えなかったという、どうしようもない無力感。それは陣内が最も深く、長く抱え続けてきた傷であり、心の奥底に巣食う呪縛でもあったのだろう。香織を失った日から止まってしまった時間を、ようやく動かせるかに見えたその瞬間、陣内は突如として引き金を引く。耳をつんざく銃声とともに、状況は一変する。本人には記憶がなく、その一瞬だけ陣内の瞳には“何か”が宿ったかのような狂気が覗いた。その表情は、怒りや悲しみとも違う、説明のつかない異質な気配を漂わせていた。
さらに事態は予想もしない方向へ転がっていく。葛城までもが才木に銃口を向け、緊張が極限まで高まったその場にジウが姿を現す。「次なる扉は開かれました」という不穏な言葉とともに、異能力の新たな可能性を匂わせる。ジウが持つ異能力は“他者を操る”力なのだろうか。

一方で、異能力ハンターの寒江(松角洋平)と藤川(小倉史也)の動きが加速。「バイオエイル遺伝子研究所」の研究者・田所(清水伸)が結衣(蒼戸虹子)に接触する場面も描かれる。そしてラストでは、ジウは牢に囚われた陣内を解放。能力者たち、警察、そしてハンターの思惑が一気に交錯し、物語は次なる局面へと突き進んでいく。
木崎ちあきが手掛けた同名小説を原作を実写化した麻取アクション・エンターテインメント。謎に包まれた新型ドラッグ“DOPE”が蔓延している近未来の日本で、正反対のバディがDOPEによって巻き起こる不可解な事件の解決に挑んでいく。
■放送情報
金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:髙橋海人、中村倫也、新木優子、三浦誠己、豊田裕大、久間田琳加、忍成修吾、入山法子、佐野和真、蒼戸虹子、小池徹平、真飛聖、伊藤淳史、井浦新
原作:木崎ちあき『DOPE 麻薬取締部特捜課』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:田中眞一
演出:鈴木浩介ほか
プロデュース:長谷川晴彦、佐藤敦司
音楽:内澤祟仁
主題歌:Uru「Never ends」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
編成 :杉田彩佳、松本友香
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/DOPE_tbs/
公式X(旧Twitter):@dope_tbs
公式Instagram:@dope_tbs






















