久保史緒里が『あんぱん』についに登場! 役者として重宝される理由は“解像度”の高さ

NHK連続テレビ小説『あんぱん』第21週のタイトルは「手のひらを太陽に」。これは嵩(北村匠海)が書いた詞にたくや(大森元貴)がメロディーをつけて生まれた楽曲のタイトルでもあり、実際に嵩のモデルとなったやなせたかしとたくやのモデルとなったいずみたくが手がけた大ヒット曲として多くの人に知られている。

この「手のひらを太陽に」を歌う人気歌手・白鳥玉恵役で、乃木坂46の久保史緒里が『あんぱん』に初登場する。
本作で朝ドラ初出演となる久保が演じる白鳥は、「手のひらを太陽に」の歌唱をきっかけに、嵩にリサイタルの構成をはじめとして次々と頼みごとをするようになり、嵩と関わりを持っていく人物。史実において「手のひらを太陽に」を歌ったのは宮城まり子。宮城は1950年に歌手デビューすると次々と大ヒットをとばし、NHK紅白歌合戦にも計8回出場した大人気歌手だ。NHK『みんなのうた』で、やなせ制作のアニメーションとともに放送された「手のひらを太陽に」も、当時は反響もなくヒットしなかったが、 1965年に宮城が紅白歌合戦で歌唱したことで知られるようになった。そのため、白鳥のモデルは宮城ではないかと考えられる。
久保は乃木坂46のメンバーでありながら女優としても大活躍中。2025年だけでも本作だけではなく、連続ドラマW『怪物』(WOWOW)、三山凌輝とW主演を務めた『誰よりもつよく抱きしめて』、平祐奈とW主演を務めた『ネムルバカ』と4本の映画とドラマに出演している。2023年には大河ドラマ『どうする家康』にも出演しているが、乃木坂46のメンバーで朝ドラと大河の両方に出演したのは久保が初めてであるという。
久保史緒里、『どうする家康』が俳優としての大きな転換点に 難役・五徳の解釈光る
もうすぐ物語の折り返しを迎えようとしている『どうする家康』(NHK総合)。大きなクライマックスとなるのは、かの有名な「本能寺の変…久保は、とにかく演じる役柄の解像度が高い。『どうする家康』で演じた五徳は、信長(岡田准一)の娘で、幼くして家康(松本潤)の嫡男・信康(細田佳央太)に嫁いだ女性だが、彼女について久保はインタビューで「家康家のなかでは家族の一員でありながら、どこか異分子のような感覚がありました」と語っている。そして、「それに幼さが加わり、感情表現の仕方が怒りとして出てしまい、攻撃的な態度を取っていたのですが、その裏には怯えがあったと思っています」と分析(※)。信長に似て芯が強く、気品もありながら、家族に対する複雑な思いが見え隠れするところを丁寧に演じた久保の演技は、そうそうたる俳優陣の中でも見劣りすることなく、しっかりとした存在感を放っていた。この緻密な分析こそが、ジャンルを問わず、さまざまな作品で久保の演技が必要とされている要因なのだろう。
白鳥のモデルと考えられる宮城は、歌手活動をする傍ら、身体障害者や精神疾患者などの救済・支援を行う日本初の民間社会福祉施設であるねむの木学園を1人だけで立ち上げている。この福祉事業が軌道にのっていくにつれて、歌手活動は事実上引退状態となったが、この福祉事業での功績が認められ、日本の勲章のひとつである瑞宝章が授与されている。このエピソードから、宮城が自分が決めた道を高い熱量で突き進んでいける人であることが窺い知れる。
果たして、白鳥は『あんぱん』の中でどのような人物として描かれるのだろうか。そして久保がそんな白鳥をどのように解釈して演じて見せるのかがとても楽しみである。
参照
※ https://www2.nhk.or.jp/archives/articles/?id=D0009123852_00000
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、高橋文哉、眞栄田郷敦、大森元貴、戸田菜穂、戸田恵子、浅田美代子、吉田鋼太郎、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子ほか
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK























