不穏な展開のオンパレード! 『エイリアン:アース』第1話から期待を超える素晴らしさ

『エイリアン:アース』期待以上の素晴らしさ

 宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえないーー。そんなキャッチコピーでお馴染みの、サバイバルスリラー映画の金字塔『エイリアン』。1979年に公開されて以来、シリーズ化され、宇宙最恐の生命体である“エイリアン”と人間の戦いが描かれ続けてきた。しかし、それは宇宙での話。その舞台が“地球”になったら一体どうなってしまうのか……そんな冗談みたいに恐ろしい設定で展開されるシリーズ初のドラマシリーズが『エイリアン:アース』(全8話)である。

 エミー賞総なめの話題作『SHOGUN 将軍』のFXが製作を手がけ、エイリアンの生みの親であるリドリー・スコットが製作総指揮を務める本作は、すでに、映画批評家サイト 「Rotten Tomatoes」で批評家スコア94%フレッシュという、『エイリアン』シリーズの中 で最高スコア(『エイリアン2』と同スコア ※8月12日時点)を獲得。時系列としては、あの『エイリアン』の2年前を描く。ついに8月13日より配信された第1話と第2話は、『エイリアン』作品としてのアプローチ、世界観の提示、主要人物の紹介、そして“試練”の明示がテンポ良く描かれ、期待を高めるようなイントロダクションを見せてくれた。

早速“『エイリアン』”が堪能できる冒頭シーン

 冒頭から展開されるのは、あのシリーズ第1作の『エイリアン』を彷彿とさせる宇宙船内のシークエンス。ウェイランド・ユタニ社の「マジノ」号はとある“標本”を確保し、社に持ち帰ろうとしていた。食事シーンでのチームメンバーはそれぞれ個性的で面白い。少しの会話だけでどんなキャラクターなのか、それぞれの関係性も想像できるような良いシーンだ。しかし、数ある標本の中に例の“卵”がチラリと見えた瞬間、「あっ、終わったな」と彼ら乗組員の命の儚さを悟ってしまう。

 何より怖いのが、エイリアンの存在だけで十分なのに、何だか観ているだけで不穏そうな地球外生命体が他にも乗船していること。全てがトラブルの種になりそうだと、こちらのワクワクを掻き立てつつ、そこから断絶的にその後の船に何が起きたのか見せていく。改めてそのシークエンスをじっくり撮らず、あえてあの見せ方をしたのはシリーズファンの想像通りの展開が起きるからであって、そんなふうにわかりきったものの想像を視聴者に委ねるような信頼関係の築かれ方、そしてそれを実現させたエイリアンの存在そのものが、映画史における発明であることを改めてここで実感させられた。

 乗組員の中に紛れ込むサイボーグが、マザーやユタニ社に忠誠を尽くして仲間を見捨てたり、地球との衝突も免れないと言われても標本を優先させたりなど、その辺の“お決まり”もブレなくて面白い。このモロー(バボー・シーセイ)と呼ばれるサイボーグは、船の墜落後も捜索救助隊を酷い目に遭わせるので、なかなか侮れないキャラクターとして注目していきたい。ただ、シリーズの“お決まり”に触れるのであれば一点、重要な話をする必要がある。『エイリアン』において、リプリー(シガニー・ウィーバー)の愛猫ジョーンズが惨禍から生き延びたこともあり「猫は無事である」ことがシリーズにおける暗黙の了解だった気がするのだが、本作においては第2話で無惨な目に遭ってしまうので、猫や動物好きの方は心してほしい。

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