次世代注目株キム・ダンから目が離せない 『TRY』でユン・ゲサンが体現する人生の光と陰

『TRY』ユン・ゲサンが表す人生の“光と陰”

 Netflixで配信中の『TRY ~僕たちは奇跡になる~』。ユン・ゲサンを主演に迎えたスポーツヒューマンドラマとして、王道のスポーツものから泥臭さや熱血を引いて、爽やかさとほっこり感を足したような現代風スポ根物語となっている。本稿では、第3話、第4話を中心にご紹介したい。(以下、ネタバレを含みます)

 ユン・ゲサン演じるチュ・ガラムは、韓国ラグビー界のスター選手として活躍していたが、ドーピング違反を起こし落ちぶれる。3年後、ガラムは、母校の漢陽体育高校の校長カン・ジョンヒョ(キル・ヘヨン)の招聘を受け、弱小ラグビー部の監督に就任する。しかし、ラグビー部の廃部を目論む教頭ソン・ジョンマン(キム・ミンサン)は、ガラムもろともラグビー部を解体しようと策略を張り巡らせるーー。

 ラグビー部が、強豪校から初得点を獲得した試合が終了し、部員たちが喜んだのも束の間、主力を担っていたカン・テプン(チョ・ハンギョル)がジョンマンの策略により、他校に転校してしまう。テプンを欠いて6人となってしまったラグビー部は、人数が足りないと廃部に追い込まれてしまう。ガラムは、部員たちに欠けている、戦力となる「足が速くて大柄な」生徒を獲得するために、生徒の情報を保管している資料室に忍び込む。

 ガラムは、資料室から情報を掴み、ある生徒をスカウトしに向かうが、それはラグビー界の伝説の選手であるムン・チョルヨン(チョン・ギソプ)のDNAを受け継ぐ息子ウン(キム・ダン)だった。チョルヨンは、自身がラグビーで怪我を負ったことから、ウンにはラグビーをさせるつもりはないとガラムを突き帰す。しかし、ガラムは、「ラグビーのせいにしないでください」「先輩の膝も、俺の転落劇も、全部自分たちのせいでしょ」「ラグビーをもう憎まないでください」とチョルヨンを説き伏せる。ガラムが、チョルヨンに向かって、自分は仲間を信じずに欲を出して後悔していると告げ、ラグビーは1人ではできない、仲間を信じることが大事なんだと、思いを吐露するのが切ない。

 ガラムが、第1話で「決勝戦には出られません」と監督に話すも、「キャプテンだろ! オリンピック目前だ! 全国民が注目してる」と言われ、薬を飲む回想シーンがあった。練習場でボールを投げるガラムの脳裏に浮かんでいたのは、彼の人生が転落した瞬間だった。ガラムが、薬瓶に手を伸ばした瞬間に光から闇へと転じるメタファーとして、練習場のライトが消えて真っ暗になった。ドーピング違反をした過去は、現在の彼の人生に重くのしかかり、後悔に苛まれていることがわかる。キャプテンであっても、仲間を信頼して任せればよかったのだという思いが、誰よりもガラム自身に重い漬物石のように背中にのしかかり、底なし沼のように足を取られているのだ。人前ではそんな姿を見せず、明るいガラムに笑わせられているが、彼の心に影を落としているものは、現在進行形なのだ。

 ガラムの熱い思いがチョルヨンに伝わり、彼は息子のウンを漢陽体育高校に送り出す。しかし、教頭ジョンマンは、ウンを入学させないように、彼にテストを受けさせることにする。ウンは、ラグビー、フェンシング、アーチェリーの試合に勝つことで入学を許可されることになる。

 本作は、同じくスポーツドラマとして人気を博し、韓国では社会現象となった『ストーブリーグ』のようになるのでは、と本国では期待されている。そんな中で、『ストーブリーグ』で新人投手役としてチェ・ジョンヒョプがブレイクしたように、本作でウン役を演じるキム・ダンに一気に注目が集まっている。キム・ダンは、2003年生まれで、本作がデビュー作となる。キム・ダンが画面に初登場したのは、『いつかは賢いレジデント生活』第10話で絶食患者にお粥を出してしまった外科レジデントとしてだ。セリフは、「すいません」だけだが、丸メガネ姿がキュートなキム・ダンの姿を観ることができる。

 キム・ダンが、ウン役で登場した第3話より、彼がチームを引っ張っていきそうな雰囲気を感じさせる。第4話では、キム・ヨハン演じるユン・ソンジュンが、ソ・ウジン(パク・ジョンヨン)がウンの指導をする姿を、ヤキモキしながら見ていたこともあり、恋の方もなにやら絡んでくると面白い。

 ガラムが引っ張っていくラグビー部は、ウンの加入を持って、チームメンバーが揃った。彗星のように現れた新星キム・ダンの、ここからの活躍を楽しみにしている。

■配信情報
『TRY~僕たちは奇跡になる~』
Netflixにて独占配信中
出演:ユン・ゲサン、キム・ヨハン、イム・セミほか
演出:チャン・ヨンソク
脚本:イム・ジナ
(写真はSBS公式サイトより)

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