『あんぱん』高知新報編終了は早すぎた? 展開スピードも“史実”に忠実な構成を分析

連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合)も、残すところあと2カ月。第17週「あなたの二倍あなたを好き」では、嵩(北村匠海)がずっと渡せなかった赤いハンドバックとともに、ようやくのぶ(今田美桜)へ想いを伝えた。「若松のぶさん。僕は朝田のぶの頃から、あなたが好きでした」「これからもずっと僕はあなたを愛しています」という究極の愛の告白を受けたのぶは、「好きや。嵩の2倍、嵩のこと好き」と嵩の胸へ飛び込んだ。長きにわたる嵩の想いを受けとめ、さらに上回る愛で応えたシーンには、幼い頃から“はちきんののぶ”と呼ばれてきた溌剌さと、嵩とともに第二の人生を歩む覚悟が滲んでいた。
第18週「ふたりしてあるく 今がしあわせ」では、これまで触れられずにいた心の深い部分を互いに打ち明け、ついに嵩がプロポーズをする。

「いつもまっすぐ、ひたむきに走るのぶちゃんのことを、子どものころからずっと愛しています。千尋の分も、次郎さんの分も、僕が幸せにします。結婚してください」
この台詞は、母・羽多子(江口のりこ)の「あんたの強いところだけやのうて、弱いところやほころび、そういうのを全部分かってくれる人がそばにおってくれたらええんやけど」を叶えてくれる存在が嵩だったこと、さらに『東京リベンジャーズ』シリーズをはじめ、今回で6度目の共演になる「今田美桜&北村匠海」コンビの幾度も重なり合う運命をも感じて、よりロマンティックに響いたのである。蘭子(河合優実)と豪(細田佳央太)、嵩たちの指針になるような言葉を残した寛(竹野内豊)など、印象に残るシーンはいくつもあるが、やはり『あんぱん』はのぶと嵩の物語なのだと確信した。

いよいよのぶの“漫画家の妻”としての物語が動き出そうとしている。けれど、その前段として描かれた「新聞記者編」が、やや消化不良のまま終わったのは、ちょっと残念だ。小学校教師をやめ、途方に暮れていたのぶは、亡き夫・次郎(中島歩)が書き残した言葉の意味を知るために、速記を学びはじめる。実践編として闇市に集まる人々の声を速記で書き留める姿は、さながら聞き込みをする刑事や探偵のようだったが、そこで東海林(津田健次郎)に出会い、『高知新報』の試験を受けることに。初の女性記者の一人として採用されたのぶは、東海林らと『月刊くじら』制作に奔走。その取材を通じて、代議士の薪鉄子(戸田恵子)からスカウトされ、亡き釜次(吉田鋼太郎)の言葉に背中を押されたのぶは、鉄子の秘書になるために高知新報を退社する。




















