マーベル離脱組も必見! 『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は誰もが楽しめる

正直、マーベル映画はどれだけその作品が良くても、“単体”として楽しむことが難しい場合がある。それぞれのキャラクターが主人公の単体作品が実は繋がっていて、アッセンブル作品へと繋がっていくワクワク感や盛り上がりも楽しい。しかし、キャラクターも作品も増えれば増えるほど、追っていくことが難しくなって、気づけば置いてきぼりになってしまう感覚を覚えることもあった。しかし、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は本当の意味で“宿題”もいらないし、他の作品との繋がりもない。一つの映画として観たときに、十分にキャラクターや世界を理解し、愛して楽しめる傑作だ。
本当の意味で前提知識を必要とせず、誰もが楽しめる
本作は、1961年に刊行されたマーベル・コミックス『Fantastic Four #1』でデビューを果たし、マーベルヒーローの原点かつ礎を築いたとも言われる4人組、“ファンタスティック4”をマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で初めて描く作品である。
宇宙での任務中に遭ったアクシデントによって、それぞれ特殊な能力を得た4人の宇宙飛行士。天才科学者でありチームのリーダーであるリード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティック(ペドロ・パスカル)は身体が伸縮自在に、彼のパートナーであるスー・ストーム/インビジブル・ウーマン(ヴァネッサ・カービー)は体を透明化させ、目に見えないエネルギーを操ってフォース・フィールドを形成する。そんなスーの弟であるジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチ(ジョセフ・クイン)は炎を自在に操り高速で空を飛び、リードの長年の親友であるベン・グリム/ザ・シング(エボン・モス=バクラック)は岩のような強固な肉体と怪力を得た。
マーベルを知っている人にとってはお馴染みの4人だが、本作の注目すべきポイントは、彼らがすでに4年間ヒーロー活動を行っていて、人々から愛されているところから物語が始まり、それまでの前提を映画冒頭でテレビショーとして紹介する作りになっている点だ。この冒頭のまとめがあまりにも多機能すぎて、インタビュー映像などを交えることでキャラクターの性格や関係性を映すにとどまらず、本作の世界観の紹介にもなっている。それに加え、「あ、これはおそらく原作要素なんだろうな」と知らなくても気づける程度のヴィランとの戦闘記録なども紹介され、コミックファンへの目配せも忘れていない。しかし、本作において重要なのはそれに依存していないことである。
舞台が「アース828」であることも大きなポイントだ。これまでのMCUの舞台は「アース616」。つまり本作はこれまでとは全く違う“世界”のお話であり、それゆえに他のMCU作品との関連性もない、“真の意味での単独作”なのだ。これまでも「単独作として楽しめる」作品はあったが、実際のところMCU映画を一度も観たことがない人と、MCUの映画やドラマシリーズに詳しい人がそれを観たとき、キャラクターの関係性などやはり前者はある程度戸惑うだろうな、という作品が多かった。一方でこの映画は、どちらのタイプでも同じだけ楽しむことができる。それだけで近年のマーベル映画においては革新的で、ゼロ知識の友人に「この映画、面白かったからオススメ!」の一言で作品を勧められる点は高く評価されるべきだと感じる。























