ちいかわ転売騒動にみる、キャラグッズ“爆買い”の心理 人はなぜモノを集めたがるのか?

 この現象は、もはや日本だけに限った話ではない。たとえば中国では、「代理購入(代購)」というスタイルが広く浸透している。かつては一部の業者が手がける商売だったが、今では一般層にも広がり、日本で販売されたキャラクターグッズを現地から中国本土の個人バイヤーに送るという流れが、日常的に機能している。特に、“会場限定”や“数量限定”といった要素を持つアニメ・マンガ関連のグッズは、希少性が高く、現地での需要も大きいため、争奪戦になりやすい。

 韓国では、K-POPカルチャーを背景に「推しグッズ文化」がより進化している。アルバムにランダムで封入されるフォトカードやアクスタを“推し”をそろえるために、複数購入やファン同士の交換・グループ購入といった仕組みが一般化しており、こうしたアジア圏におけるグッズ収集文化の盛り上がりは、いまや国境を越えて混じり合っている。

 訪日外国人や在住ファンが、日本国内でのグッズ購入に参加する機会も増え、キャラクターグッズをめぐる熱狂はさらに多層化しているといえるだろう。

 限定品を求める行動は、「好きだから応援したい」「推しを手元に置いていたい」といった純粋な気持ちの表れだ。好きなものを集めることは、本来、誰かに否定されるようなものではない。

 一方で、その熱が高まりすぎたとき、ときに摩擦や偏りを生むこともある。

 限定、非再販、先着順……そんな言葉に心がざわつくとき、私たちが向き合っているのは、モノそのものではなく、「ファンであるなら持っていて当然」という空気に、知らず知らずのうちに押されている自分かもしれない。

 その欲求が、気づかぬうちに誰かの“推し活”の機会を奪ってしまうこともあれば、自分自身が情報や購入システムに振り回され、ふと疲れを感じてしまうこともあるだろう。たとえすべてを手に入れられなくても、気持ちが向いているかぎり、ファンであることに変わりはない。だからこそ、「自分にとって本当に欲しいものは何か」「なぜそれが欲しいのか」を、一度立ち止まって考えてみる時間も、ときには必要なのではないか。

参考
※ https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2505/19/news109.html

 

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