『真・侍伝 YAIBA』30年越しに“令和クオリティ”で復活 旧アニメ版との“違い”を分析
また作中の設定とは別に、現代ならではの作画水準となっていることも大きな特徴。今回アニメ化を手掛けているのは、『SPY×FAMILY』や『進撃の巨人』(Season1~3)などのハイクオリティな作品を生み出してきたWIT STUDIOだ。
そしてキャラクターデザイン・総作画監督の亀田祥倫は、映画『犬王』で「第1回新潟国際アニメーション映画祭」の大川=蕗谷賞に輝いた人物。サブキャラクターデザイン・メインアニメーターの前並武志も、凄腕アニメーターとして名を知られている。
そのため作画レベルは最初からフルスロットル。第1話はアバンタイトルからド派手な戦闘シーンで始まり、ジャングルでの修行風景に峰家の道場破りとスタイリッシュなアクションが次々と描かれていた。その一方、細やかな描写も見どころで、竹刀の先端が防具の染料で青く汚れていたり、面を外した際に「むわっ」と湯気が溢れ出たりと、剣道に詳しい人を唸らせるようなこだわりが表現されていた。
さらに鬼丸が「風神剣」、刃が「雷神剣」を入手すると、戦闘シーンはさらに迫力を増すことに。第6話では鬼丸の手下である八鬼の1人、バットガイとの戦いで、上空を高速で飛び回りながら戦闘する姿が迫力満点の作画で描かれていた(※)。
作中設定も作画の水準も令和の最新アニメとしてアップデートされた同作だが、その一方で“古き良き魅力”があることも指摘しておきたい。その魅力とは、一言でいえば「少年心をくすぐるまっすぐさ」だ。
たとえば一心不乱に“己の強さ”だけを追い求めて修行するという主人公・刃のキャラクター造形は、現代のマンガやアニメではあまり見られないほど純粋だ。ほかにも「伝説の魔剣を探し求める」というストーリー、「雷神剣」と「風神剣」という設定、主人公・ライバル・ヒロインという登場人物たちの配置など、いい意味で“直球勝負”な設定がてんこ盛りとなっている。
1980年~1990年代の少年マンガ的な“カッコよさ”は、現代では「ベタな設定」として避けられがち。同作はそこをまっすぐに突き抜けているため、令和のアニメファンには逆に新しいものと受け止められるのではないだろうか。
令和の世に蘇った『真・侍伝 YAIBA』は、古きを温め新しきを知る、温故知新を地で行くアニメだと言える。原作を知るファンはもちろん、そうでない人もぜひ視聴してみてほしい。
参照
※ https://x.com/YAIBA_PR/status/1922577628113858665
『名探偵コナン』の青山剛昌の同名漫画を完全アニメ化。ジャングルで修行にはげむサムライ野生児・鉄刃がふとしたことから日本に戻り、さらなる強さを求めてサムライ魂一直線で奮闘していく。
■放送情報
『真・侍伝 YAIBA』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週土曜18:00〜放送
キャスト:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也ほか
原作:青山剛昌(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
チーフプロデューサー:竹綱裕博、石山桂一
プロデューサー:吉田剛志、藤堂真孝
アソシエイトプロデューサー:近藤秀峰
監督:山本泰一郎、鎌仲史陽
音楽:大野克夫
キャラクターデザイン:須藤昌朋
美術監督:吉原俊一郎(美鋒)
色彩設計:中尾総子
撮影監督:小川隆久、吉田雅紀
音響監督:浦上靖之、浦上慶子
編集:岡田輝満
ストーリーエディター:飯岡順一、小宅由貴恵
制作担当:福西将士
原案協力:大嶋一範、堂本強介、小笠原僚也、薄谷正和
音響制作:AUDIO PLANNING U
©青山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/conan/