『あんぱん』は「週タイトル」にも注目! 朝ドラだからこそのタイトルバック制作秘話も
第3週では「なんのために生まれて」、そして第4週では「なにをして生きるのか」と、2週にわたって『アンパンマンのマーチ』の一節になっていることも印象的だったが、「第3週と第4週を週またぎにしたのは、寛(竹野内豊)が嵩や千尋(中沢元紀)に何度も問いかけますが、この歌詞が僕自身の心に刺さったことがドラマ制作のきっかけの一つでもあったので、どこかでサブタイトルにしたいと思っていました」と明かし、「他にも第9週の『絶望の隣は希望』など、やなせさんの哲学や言葉の中から、各週にふさわしいタイトルを選んでいます」と続けた。
「実は、完本の段階ではサブタイトルをつけていないんです。例年の朝ドラは完本作成時にサブタイトルが決まっている年が多いのですが、今回は台本だけでなく、キャストの演技や現場の雰囲気など、すべてを感じてからサブタイトルをつけたいという思いがあって、かなりギリギリに決めています」
そんな週タイトルだけでなく、ドラマにも『アンパンマンのマーチ』の歌詞や「勇気100倍」といったおなじみのフレーズが随所に散りばめられている。倉崎は「使いすぎてもよくないですが、キャストのみなさんが役として“心から思っていること”をセリフにすることで、違和感なく溶け込んでいると思います。現在は寛の口から出ることが多いですが、今後はいろんなキャラクターの心の底から出てくるセリフとして登場するので、楽しみに待っていただけたら」と期待を煽った。
放送開始から1カ月が経ち、「初回はNHKプラスで大河、朝ドラ、すべてのドラマを含めて史上最高値を記録しました。なにより、まずはご当地が盛り上がらないと全国につながらないと思うので、高知の初回総合視聴率が41.6%だったことは大きいですね。こういった数字面も含めて、好スタートが切れたと思います」と率直な思いを吐露。
さらに、「みなさんには子役時代から感情移入していただきましたが、史実としてのぶも嵩も幼い頃に父を亡くしていますし、我々としても喪失感をちゃんと描きたいと思っていました。生きる喜びを表現していく上で、『喪失感があるからこそ喜びもあるんだ』という、当たり前かつ普遍的なことを作品に込めたかったので、それが届いた感触はすごくあります」と手応えを語る。
一方で、「予想以上に登美子(松嶋菜々子)に反響があることに驚きましたが、それだけみなさんが物語に没入してくれていることが嬉しくもあります」とも。「当時は登美子のような女性がたくさんいて、彼女にはそれしか生きる道がなかったんですよね。それでも、松嶋さんとはクランクインのときから『根には嵩と千尋への愛情がちゃんとある人なんだ』と話していて。最後まで登美子と嵩の関係、あるいは登美子とのぶの関係がどうなっていくのかは、一つ注目していただきたいです」と呼びかけた。
物語が最終回を迎えたとき、我々視聴者はタイトルバック、そして登場人物たちにどんな感情を抱くのか。その瞬間を楽しみにしたい。
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、二宮和也、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK