『イグナイト』間宮祥太朗の熱意が真実を暴く “後出し”で仕掛ける裁判シーンの妙味

 強豪の大学ラグビー部内で起きた、いじめによる部員の自殺未遂問題に新たな“火種”を見出した轟(仲村トオル)たちピース法律事務所の面々。多額の賠償金を得ることを目的とする彼らは、加害者である学生ではなく大学側を相手取って安全配慮義務違反を追及すべく動きだす。というのが、4月25日に放送された金曜ドラマ『イグナイト-法の無法者-』(TBS系)第2話の大まかな流れである。

 弁護士としてのデビュー戦を勝利したものの、騙し討ちのような事務所のやり方に納得できずにモヤモヤしていた宇崎(間宮祥太朗)。そんななか、自殺未遂を起こした学生・西田真斗の弟であり、チームの主力選手である西田颯斗(宮近海斗)をターゲットに見据え、火種に着火(=イグナイト)すべく東修大学へと向かった一向。宇崎は「絶対に余計なことすんなよ」と轟に釘を刺されながら、保護者説明会へと潜入。しかし人命よりも部の伝統を重んじる異質な雰囲気に疑問を抱き、周囲と衝突してしまう。

 この保護者説明会での表情の変化からあらわになる、宇崎の強すぎるほどの正義感。前回からその片鱗が見えていたとはいえ、颯斗に直接話を聞こうと単独行動をしたり、意識が戻らない真斗の入院している病院で彼の親友に話を聞いて「俺こういうの許さないって決めてるから」と怒りをあらわにしたり。さらには西田家で父親に激しく詰め寄ったりと、今回では度を越した正義感がより一層強調された印象だ。これが生来のものなのか、それとも前回少しだけ触れられた父親の事故をめぐる一件に起因するものなのか。その辺りはおいおい紐解かれていくことだろう。

 そんな宇崎はもとより、今回のエピソードではピース法律事務所のメンバーそれぞれの特性のようなものが明確に描かれていく。伊野尾(上白石萌歌)はバイクを乗り回しすぐに駆けつけられる機動力を有し、かつ西田家の母親の些細な反応から遺書の存在があることを見抜くという洞察力も備えている。一方で高井戸(三山凌輝)はクラブのDJとしても働きながら、持ち前のチャラさで聞き込みをスムーズに運ぶスキルがあり、裏社会にも精通していることが明らかにされる。

 そして、型にも法にもはまらない大胆さを武器にした轟。同時に彼は、クライアントの利益を最大限に尊重するという、優秀な弁護士としての一面も備えている。4人が並んで裁判所に向かって歩く決めショットは、それぞれの表情から余裕や自信、信念のようなものがはっきりと見える。そういった点で、このドラマは“チーム”を描く物語としての勘所を的確に押さえているといえよう。

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