『あんぱん』阿部サダヲが本格的なパン作り実践 “食べる喜びから作る楽しさ”へ
匂いにつられた町の人が、朝田家へ。屋村がいつも通りに1個10銭と言ったところ、羽多子(江口のりこ)が2銭に値下げ。大幅な値下げだが、買ってもらわないことには利益にならない。あんぱんは朝田家が生きていくための術なのだ。値下げを宣言した羽多子は、屋村にパンの作り方の教えを乞う。家族の危機に立ち向かおうとする力強い羽多子の口調には、決意が滲んでいた。家事を担う昭和の良きお母さんという印象の羽多子だが、いざという時に見せる表情にはたくましさが垣間見え、江口のりこがキャスティングされた意味を実感させてくれる。穏やかさと強さの共存が見える人物像という点でも、バタコさんが意識されているのだろう。
朝田家の面々に頼みこまれた屋村は、豪と同じ屋根裏部屋に住むことに。翌朝、道具を調達して帰宅する。釜次と豪の手によって、立派な石窯も完成した。石窯を見て、「よし」と声をかけた屋村に、一番嬉しそうな安堵の笑みを見せる釜次。水と油のような釜次と屋村だが、職人としての互いの能力は認めあっているようだ。
屋村は“ポンコツ”というパンをこねる作業を、子供たちにレクチャー。「このクソがんこじじい!」と言いながら笑顔でパン作りに取り組むのぶ、嵩、蘭子、メイコ。あんぱんを食べて元気をもらった朝田家が、次はパンを作りながら笑顔になっていく。第1週目では、登場人物たちがあんぱんをもらった悲しみを乗り越える姿、第2週目では、あんぱんを作り、食べてもらうことで笑顔になる姿が描かれている。食事を摂ること、作ること、そして誰かに喜んでもらうことはすべて元気につながるのだ。
一方、あんぱんを食べたことで、家族との思い出が呼び起こされて悲しみを覚えてしまったのが、嵩と千尋(平山正剛)だ。千尋は屋村が作ったあんぱんの味で、自分の父・清(二宮和也)と母・登美子(松嶋菜々子)を思い出してしまったようだ。
千尋からの「かあちゃまいつ帰ってくるが?」という言葉で、母の不在を改めて実感してしまった嵩の元に登美子からの便りが。第2週の「フシアワセさん今日は」というタイトルが回収されるような展開になってしまうのだろうか。
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、志田彩良、二宮和也、瀧内公美、山寺宏一、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、阿部サダヲ、妻夫木聡、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK