長澤まさみが『グッドモーニングショー』で見せた“危険な香り” キャリア25年の役幅を総括
『世界の中心で、愛をさけぶ』の力演によってトップ俳優の座に躍り出てからは、『タッチ』(2005年)や『ラフ ROUGH』(2006年)などの若者向けの作品や、『涙そうそう』(2006年)といった話題作で10代のうちは活躍。20代の頃の長澤の代表作は、それまでの自身のイメージを一新した『モテキ』(2011年)や、綾瀬はるからとカルテットでヒロインを務めた『海街diary』(2015年)あたりだろうか。そして30代に入ってからは、『キングダム』(2019年)などの大作/話題作に参加しながら、『散歩する侵略者』(2017年)や『嘘を愛する女』(2018年)、『MOTHER マザー』(2020年)、『すばらしき世界』(2021年)といった作家性の強い映画作品に積極的に挑んでいる印象が強くある。
もちろん、俳優というのは自分本位で仕事ができるものではない。大変な数の人々の力が合わさり、縁があって、俳優は特定の作品に参加することができる。だから上に列挙した長澤の出演作はいずれも、自然な流れによって出会ったものなのかもしれない。しかしやはり俯瞰してキャリアを眺めてみると、そこには彼女自身の変わりゆく演技者としての姿勢のようなものが感じられる。いや、感じないわけにはいかない。演劇シーンで野田秀樹が率いるNODA・MAPの作品に出演するようになったのも近年の話である。
松山ケンイチ×長澤まさみ、“ベスト”だった初共演を語り合う 仕事を続ける上での原動力は?
先日最終回を迎えた『100万回 言えばよかった』(TBS系)や、現在放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』での好演も話題の松山…そんな彼女のキャリアの中で、『グッドモーニングショー』はどう位置付けられるだろうか。これは非常に間口の広いエンタメ作品だ。物語のスジも分かりやすい。長澤のポジションは一応はヒロインだが、一般的にイメージされるヒロイン像とはだいぶ印象が異なる。近年の活動と照らし合わせてみると、面白い発見があるのではないかと思う。
■放送情報
映画『グッドモーニングショー』
フジテレビ系にて、4月9日(水) 21:00~22:48放送
出演:中井貴一、長澤まさみ、志田未来、池内博之、林遣都、梶原善、木南晴夏、大東駿介、濱田岳、吉田羊、松重豊、時任三郎
監督・脚本:君塚良一
©︎2016 フジテレビジョン 東宝
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/movie/