チームで動いていた第九から薪が離脱し、逃亡した薪を警察が追う新展開は何やら胸騒ぎがする。そんな中でも、薪の行き先を突き止めて、あとを追う青木は特別な存在だと再認識した。薪は青木を守ろうとし、青木は薪を守ろうとする。二人をつないでいるのが、この世にいない鈴木（中島裕翔）であること。鈴木の脳を見た青木は、薪と鈴木の約束の地へ向かった。

　第1話ラストで流れたシーンの光景に、こういう形で戻ってくるかと思うと感慨深い。第九の本部建設予定地で鈴木がした「どこまでもお前について行くよ」という約束を、青木が代わりに果たそうとする。青木が守ろうとしているのは薪や雪子（門脇麦）だけではなくて、鈴木の記憶もそうだ。青木の中に鈴木はたしかに生きていると感じた瞬間だった。

　3話連続の2回目で、原作からの改変ポイントが明らかになった。倉辻夫妻殺害に関与したのは、宗教団体クオリア教会の関係者と思われ、薪が3年前に関わった石丸大臣（相島一之）殺害の実行犯と似た特徴を持つ。瀧本の母はその信者で、薪しか知らない秘密は、大臣殺害の目撃映像だったことになる。原作では「カニバリズム」事件で、国境を越えた大きなスケールものだった。ドラマ版では2025年の世相を反映したものとなった。

　青木の慟哭は、第1話ラストの薪の苦悩と重なる。二人ともMRI捜査に関わることで家族や親友を失った。傷を抱えた二人はともに戦う同志あるいは戦友であり、同じ方向を見ている。薪と青木が互いにとって特別な存在なのは、相手を信じているからで、同じような理想を共有しているから。その視線の先にはMRI捜査によって救われる人々がいる。

■放送情報
『秘密～THE TOP SECRET～』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00～22:54放送
出演：板垣李光人、中島裕翔、門脇麦、高橋努、鳴海唯、利重剛、眞島秀和、國村隼ほか
原作：清水玲子『秘密-トップ・シークレット-』『秘密 season0』（白泉社『メロディ』連載）
脚本：佐藤嗣麻子
演出：松本佳奈、宝来忠昭、根本和政、稲留武
プロデューサー：豊福陽子、近藤匡、近藤多聞
音楽：小島裕規“Yaffle”
主題歌：「Iris」BUDDiiS（SDR inc.）
制作協力：C＆Iエンタテインメント
制作著作：カンテレ
©︎カンテレ
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