『ガンニバル』“大悟”柳楽優弥がついに本領発揮! シーズン2で存在感を増す後藤家の面々

 この第3話と第4話の見せ場となるのは、両話にまたがって描かれるトンネルでの一連だ。大悟は洋介を連れ、恵介たち後藤家は有希(吉岡里帆)とましろ(志水心音)を連れて、いわば“人質交換”の取引が行われる。しかしそこで洋介は岩男(吉原光夫)に指摘されて裏切りがバレてしまい、取引は決裂。すでに(もっともシーズン1の後藤銀の死からではあるが)不安定な状態にあった後藤家の内紛の火種が訪れるきっかけとなるのだ。

 原作コミックスでのこのシーンは、複数の登場人物たちがかなり激しく動くということもあり、いったい何が起きているのか判別しづらかった。しかしこの実写化においては、アクションとして非常にうまく整理されており、実写化としての妙味を存分に感じることができよう。とりわけ原作では山を貫くように作られた、左右の視界すべてが壁で覆われた一般的なトンネルであったのに対し、ここでは大悟から後藤家を見て左側に自然光が射し込む、覆道のような構造物に置き換えられている。

 この味のあるロケーションと程よい明るさによって、大悟vs後藤家の対決構図を明確に示す前後の位置関係、後藤家の不安定さを象徴させる左右の位置関係が非常に明確なものとなる。しかもここに“あの人”が現れる際も、原作では遠くの方から猛然と走ってくるのに対し、実写では大悟と恵介の真上から落下してくる。すなわち、大悟vs後藤家でも、後藤家vs後藤家でもない、この空間の調和を完全に乱す混沌そのものとして機能しているのだ。それゆえ、恵介が“あの人”に銃を向けながらも身動きができない様も、“あの人”が恵介の実の父親であること、後藤家の“神”であること以上の意味が付与されていると感じる。

 一方、他の場所での動きを簡潔にまとめると、京介(高杉真宙)と藍(河井青葉)が隠れて暮らす家には後藤家の人間が現れ、なんとかそれを制した藍は、“戦争”を契機に本腰を入れて“後藤家潰し”に向けて動き出した警察に協力を申し出る。そして岩男に捕まった金丸(赤堀雅秋)は、自身が後藤銀(倍賞美津子)の兄・金次の孫だと告白する。そして“あの人”に連れ去られたましろを助けるために手を取り合う大悟と恵介の前に正宗(橋爪功)が現れる。彼が語り始める、銀の過去と村の歴史。原作ではかなり生々しい描写が連続した70年前のパートが、どのように映像に落とし込まれているのかは大いに注目だ。

■配信情報
『ガンニバル』シーズン2
ディズニープラス スターにて独占配信中
出演:柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆、高杉真宙、北香那、杉田雷麟、山下リオ、田中俊介、志水心音、吉原光夫、中島歩、岩瀬亮、松浦祐也、永田崇人、ジン・デヨン、六角精児、恒松祐里、倉悠貴、福島リラ、谷中敦、テイ龍進、豊原功補、矢柴俊博、河井青葉、赤堀雅秋、二階堂智、大鷹明良、利重剛、中村梅雀、橋爪功、倍賞美津子
原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
監督:片山慎三、佐野隆英、大庭功睦
脚本:大江崇允、廣原暁
プロデューサー:山本晃久、半田健
アソシエイトプロデューサー:山本礼二
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